家づくりコラム
バリアフリー住宅への建て替え!間取り決めのポイントを徹底解説
目次
家族の高齢化や介護の必要性が出てきたとき、多くの方が住まいのバリアフリー化を検討されるのではないでしょうか。リフォームか建て替えか、どちらが適しているのか迷うこともあるでしょう。
この記事では、バリアフリー住宅への建て替えが有効なケースや、間取りを決める際に押さえておくべきポイント、費用相場、活用できる補助金制度を解説します。将来を見据えた住まいづくりを考えている方は、ぜひ参考にしてください。
バリアフリー住宅にするために建て替えが有効なケース
バリアフリー化を検討する際、リフォームより建て替えが適しているケースを以下で紹介します。
建物が老朽化しているケース
築年数が長く老朽化が進んでいる住宅では、バリアフリー化のリフォームを施しても構造的な問題が解決できない場合があります。柱や壁、床などの劣化が進んでいると、部分的な修繕ではなく建て替えが合理的な選択となるでしょう。
また、老朽化した住宅では安全性の確保が最優先です。将来にわたって安心して暮らせる住まいを実現するためには、思い切って建て替えを検討するのが有効です。
二世帯住宅にしたいケース
親との同居や将来的な介護を見据えて、実家を二世帯住宅に変更したい場合は建て替えが良いでしょう。同じ敷地内に住み続けながら、それぞれの世帯に合わせた生活空間を確保できます。
親世帯のエリアをバリアフリー仕様にし、子世帯のエリアは通常仕様にするなど、必要に応じて設計を分けることも可能です。プライバシーを確保しつつ、いざというときには助け合える二世帯住宅は、建て替えならではの大きなメリットといえるでしょう。
間取りを大きく変更したいケース
バリアフリー化において、廊下幅の拡張や水回りの配置変更など、間取りを大きく変えたい場合は建て替えが有効です。既存住宅のリフォームでは、構造上の制約から間取りの自由度に限界があります。
特に木造住宅では、柱や梁の位置が固定されており、思い通りの空間をつくり出せないこともあります。一方、建て替えであれば一から間取りを考えられるため、車椅子での移動を考慮した広い通路や使いやすい水回りなど、理想のバリアフリー住宅を実現可能です。
建物の耐震補強も行いたいケース
バリアフリー化と同時に耐震性を高めたい場合は、建て替えがおすすめです。特に旧耐震基準(1981年以前)の住宅では、耐震リフォームが大掛かりになることが多く、バリアフリー化のリフォームと合わせると費用や工期が膨らむ傾向にあります。
建て替えであれば、最新の耐震基準を満たした安全な構造と、使いやすいバリアフリー設計を同時に実現できます。将来も安心して暮らし続けられるかを考えると、二つの要素をまとめて解決できる建て替えが最適な選択といえるでしょう。
バリアフリーに建て替える際の8つのポイント
将来を見据えた快適な住まいを実現するために、バリアフリー住宅の間取り決めで押さえておきたいポイントを解説します。
建て替えの予算・スケジュールを決めておく
バリアフリー住宅への建て替えでは、まず予算とスケジュールの設定が重要です。建築費、解体費、仮住まい費用などの総費用を計算し、予算を大幅にオーバーする場合は別の方法も検討しましょう。
同時に工事期間中の仮住まい先での生活や、通勤・通学の負担なども考慮したスケジュールを立てておく必要があります。施工会社に相談しながら決めると良いでしょう。
建て替え可能な大きさを事前に確認する
建て替えの際は、敷地にどれくらいの大きさの家を建てられるか事前確認が必須です。建ぺい率や容積率の制限があり、必ずしも現在と同じ大きさの家が建てられるとは限りません。
また、接道義務によるセットバックで敷地が小さくなる可能性や、再建築不可とならないかの確認も重要です。事前に調査してから間取り計画を始めましょう。
優先順位を決める
バリアフリー住宅の計画では、優先順位の明確化が大切です。現在の生活スタイルだけでなく、将来の家族の変化も考慮しましょう。
バリアフリー設備を充実させるほど居住スペースは制約されるため、何を優先するか判断が必要です。家族で話し合い、理想と現実のバランスを取ることで満足度の高い住まいが実現します。
床面積を広めに確保する
バリアフリー住宅は、一般住宅より広いスペースが必要です。車椅子移動や介助スペースを考慮すると、廊下やトイレ、浴室などの面積が通常より大きくなります。
建ぺい率や容積率に余裕があれば、床面積を広げたほうが良いでしょう。同じ部屋数でも広い床面積があれば、車椅子でもスムーズに移動できる余裕のある間取りが実現できます。
水回りを一箇所にまとめる
トイレ、浴室、洗面所などの水回りを一箇所にまとめると便利です。移動の負担が軽減されるだけでなく、介助が必要な場合も介助者の負担が少なくなります。水回りをまとめれば広いスペースを効率的に配置でき、トイレと洗面所のスペースを共有するなど、限られた面積でも余裕のある設計が可能になります。
廊下を極力減らす
廊下の設置は最小限に抑えることが効果的です。廊下は単なる通路として床面積を消費するだけでなく、移動の複雑さを増やす要因になります。
玄関からリビングへ直接アクセスでき、リビングから各部屋へ移動できる間取りが理想的です。プライバシーが必要な場所は、パーテーションや引き戸で対応すると良いでしょう。
生活動線を短くする
日常的な移動の負担を減らすためには、生活動線を短くすることが重要です。特に寝室とトイレの距離をできるだけ短くし、夜間のトイレ移動を楽にする配慮が必要です。
動線設計では直線移動を基本として、曲がり角や段差をできるだけ少なくしましょう。効率的な動線設計は、毎日の生活の質を大きく向上させます。
ワンフロアで生活が完結できるようにする
理想的なバリアフリー住宅は、日常生活に必要な機能がすべて同じ階にあることです。寝室、キッチン、リビング、トイレ、浴室など、基本的な生活空間をワンフロアに集約すれば、階段の上り下りによる身体的負担や転倒リスクを軽減できます。2階建ての場合は、1階だけで生活できる間取りが理想的です。
バリアフリーに建て替える場合の費用相場
バリアフリー住宅への建て替え費用は一般的な新築住宅とほぼ同等で、1,500万~4,000万円程度が相場です。建築費が主な費用となり、バリアフリー設備の充実度によって変動します。
このほか、以下の費用も必要です。
- 既存住宅の解体費用
- 登記費用
- 税金
- 仮住まい費用
- 引越し費用
バリアフリー仕様だからといって極端に高額になるわけではありませんが、手すりや引き戸、スロープなど必要な設備に応じた予算計画が大切です。
バリアフリーに建て替える際に活用できる補助金制度
ここでは、建て替え費用の負担軽減に役立つ補助金・助成金制度を確認しておきましょう。
介護保険制度の補助金
介護保険制度の住宅改修費支給は、要支援・要介護認定を受けた方が対象です。手すりの設置や段差解消などの限定的な改修工事に対して、最大20万円(自己負担1~3割)が支給されます。全面建て替えには適用されませんが、建て替え後の小規模改修には利用可能です。詳しくはケアマネージャーや自治体に相談しましょう。
各自治体の助成金制度
自治体独自のバリアフリー住宅助成金制度も活用できます。例えば、兵庫県の「人生いきいき住宅助成事業」は、高齢者や障害者がいる世帯の住宅バリアフリー化を支援しています。「住宅改造型」「増改築型」「共用部改造型」の3タイプがあり、条件を満たせば介護保険にプラスして助成を受けられます。詳しくは、お住まいの市区町村に問い合わせてみましょう。
減税制度
バリアフリー住宅への建て替えでは、減税制度も活用可能です。バリアフリー対応住宅は要件を満たせば、翌年の固定資産税の3分の1が減額になります。
また、「住宅特定改修特別税額控除」などの所得税控除も受けられる可能性があります。長期的な節税効果が期待できるので、税務署や自治体に確認しましょう。
バリアフリー住宅への建て替えは将来を見越した設計が必要
バリアフリー住宅への建て替えは、将来の変化を見据えた大切な投資です。本記事で紹介した建て替えが有効なケースや建て替え前のポイント、費用相場、補助金制度を参考に、家族にとって最適な住まいを計画しましょう。
キノエデザインでは、お客さまの生活スタイルや家族構成を丁寧にヒアリングし、自然素材を活かした「深呼吸する家」で理想のバリアフリー住宅を実現します。無料相談会も行っていますので、お気軽にご相談ください。
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一戸建てのバリアフリーリフォームにかかる費用は?
一戸建てのバリアフリーリフォームにかかる費用は、リフォームの内容や規模によって大きく異なります。一般的には、手すりの設置や段差の解消、浴室やトイレの改修などの基本的なバリアフリーリフォームであれば、数十万円から数百万円程度が目安です。さらに、エレベーターの設置や大規模な間取り変更を伴う場合は、数百万円から数千万円になることもあります。具体的な費用は、リフォーム業者に相談し、見積もりを取ることで把握することができます。
建築におけるバリアフリーとは?
バリアフリーとは、高齢者や障害を持つ方々が安全かつ快適に生活できるように、物理的な障壁を取り除いた建築設計や環境のことを指します。具体的には、段差をなくしたり、広い通路を設けたり、手すりを設置するなどの工夫が含まれます。これにより、車椅子や歩行器を使用する方でも移動しやすく、また視覚や聴覚に障害がある方にも配慮した設計が求められます。バリアフリーは、すべての人が平等に利用できる環境を提供するための重要な考え方です。
フルリフォームと建て替え、どちらが安いですか?
フルリフォームと建て替えのどちらが安いかは、具体的な状況によります。一般的に、フルリフォームは建物の構造を残しつつ内装や設備を一新するため、建て替えよりも費用が抑えられることが多いです。しかし、建物の老朽化が進んでいる場合や、耐震性の向上が必要な場合は、建て替えの方が長期的なコストパフォーマンスが良い場合もあります。土地の条件や希望する住宅の仕様、将来的なメンテナンス費用などを考慮し、専門家に相談して判断することをお勧めします。