家づくりコラム
老後の暮らしを考えた間取りの作り方|2階建て住宅を上手に生かそう
目次
注文住宅は一般的に、20年、30年と長く暮らし続けることを想定して購入するものです。
子どもは成長していずれ家を出て行きますが、夫婦2人は家を手放すまで住み続けることになります。
そのため、購入時の利便性だけを考えるのではなく、老後の暮らしを考えた間取りにすることが大切です。
本記事では、年齢を重ねるごとに変化するライフスタイルや、老後も快適に暮らせる家の坪数・間取り、間取りを考える際のポイントをまとめました。
注文住宅の購入を検討している方や、老後を考えた間取りにしたいと悩んでいる方は参考にしてください。
老後のライフスタイルの変化とは
老後を考えた間取りにするには、住宅購入時から将来の変化を見据えた間取りを考えることが大切です。
老後の生活が大きく変化する要素として、主に体力や家族構成などが挙げられます。
体力面では、年齢を重ねると足腰が弱くなるのが一般的です。
体力が衰えて階段の上り下りがきつくなったり、段差につまずきやすくなったりすることを想定して、バリアフリーな設計にすると良いでしょう。
次に家族構成の変化です。
子どもができたことをきっかけに住宅を購入する方が多く、購入時は家族の人数に合わせた間取りや広さを考えるのが一般的です。
しかし将来子どもが独立すると、再び夫婦2人の生活に戻ります。
仕事を退職した老後は家で過ごす時間が増えることも考え、少しでも快適に過ごせるように工夫する必要があるでしょう。
老後に快適に過ごせる坪数・間取り
ここでは、老後も快適に過ごせる間取りを住宅の坪数別に紹介します。
以下3つの事例は、どれも老後の住まいとして生活しやすい間取りになっているので、参考にしてください。
約20坪の2LDKまたは1LDK+広々収納スペース
約20坪の敷地面積は、2階建ての戸建て住宅としてはややコンパクトなつくりです。
夫婦2人暮らしや子どもが1人の世帯にはちょうど良い広さといえるでしょう。
1階にリビングや浴室、トイレ、玄関などを設置すると、老後は2階を使用しなくても生活が完結します。
子どもが独立した後も無駄な空間が生まれにくく、効率的に生活できる間取りです。
2階のスペースは物置や子どもの遊び場など多目的に利用でき、家族構成やライフスタイルの変化に柔軟に対応できます。
コンパクトなつくりにすると、建物の維持管理費用を抑えられる点でも老後の負担を軽減できるでしょう。
約30坪の2LDK~3LDK
敷地面積約30坪で2LDK~3LDKの間取りの家は、それぞれの設備にある程度の広さを確保でき、ゆったりとした空間になります。
基本は1階にリビングや玄関、浴室、トイレなどを設置して生活・家事動線を確保した間取りにすると、住宅購入時から老後まで快適に生活できます。
2階は子どもと同居している間は子ども部屋として使用し、子どもが独立後は夫婦それぞれの趣味部屋や書斎として利用すると良いでしょう。
約30坪の2LDK~3LDKの間取りにすると、生活の変化に柔軟に対応できます。
約35坪の4LDK~5LDK
約35坪の敷地面積を4LDK~5LDKの間取りにする場合も、1階はリビングや玄関、浴室、トイレなどを設置して生活動線・家事動線を意識するようにしましょう。
部屋数が多いため、2階にある部屋は子ども部屋として使用し、残りの部屋は寝室や書斎、客室などとして使用可能です。
子ども部屋のうち2部屋は2in1ルーム設計にすると、子どもの成長に合わせて部屋を分けたり、ワンルームにしたりできて便利です。
子どもが独立した後は、趣味の部屋や物置など、ライフスタイルに合わせて柔軟に使用用途を変えられます。
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2階建て住宅で老後を考えた間取りにするポイント
老後の生活を考える際、ライフスタイルの変化に合わせて住み替えるのも一つの方法ですが、資金面を考えるとハードルが高くなるため誰でもできるわけではありません。
そこで、以下では2階建て住宅を購入し、将来のライフスタイルも考慮して老後も快適に暮らせる間取りにするためのポイントを6つご紹介します。
リフォームしやすい間取りにしておく
どれだけ老後に備えた間取りにしても、多くの方は住んでいるうちに不満や不便さを感じるようになります。
家族構成が変わり、部屋の用途を変更したいときなどに多くみられます。
そこでリフォームを前提として、間取りを変更しやすい構造や工法にしておくと、将来リフォームする際にかかる費用を抑えられるでしょう。
具体的には、間取りの変更しやすい構造や工法はラーメン構造です。
ラーメン構造の家は壁の取り外しや移動ができるため、間取りを変更したり、部屋の広さを調整したりでき、将来的にリフォームする際の自由度が高くなります。
1階だけで完結できる間取りにする
生活が1階で完結する間取りにすると、家事動線や生活動線の効率が良く、老後も暮らしやすい家になります。
間取りを考える際に重要なポイントは、リビングの隣やすぐ近くの部屋に寝室を作ることです。
もしくは、将来的に寝室に変更できるように部屋を確保しておくと良いでしょう。
老後までの間はリビング横の部屋をリビングと一体化させて広く見せたり、子どもの部屋や客室として使用したりして有効活用できます。
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扉を引き戸にする
老後を考えて家を建てたい場合は、扉を引き戸にするのも効果的です。
老後は筋力の衰えが予想され、家の中でもドアの開け閉めは体に負担がかかります。
体への負担を軽減するには、玄関ドアや各部屋のドアを開き戸ではなく、引き戸にするのが有効です。
引き戸は前後に体重をかける動きが不要で、ドアを開け閉めする際にスペースを取りません。
また、車椅子でも移動しやすい点は魅力の一つです。
バリアフリーにする
家を設計する段階からバリアフリーに対応した間取りにすると、高齢者はもちろんのこと、小さい子どもも安全に生活できる家になります。
バリアフリーな間取りの事例は、以下のとおりです。
- トイレや階段、浴室、玄関などに手すりを設置する
- 廊下の幅を車椅子でも通りやすいように広めにする
- トイレは外からも鍵を開閉できるようにする
- 床やバスタブを滑りにくい材質にする など
家の設計段階からバリアフリーにすると、将来リフォームする必要がない点もメリットです。
1階に収納スペースを設ける
2階建て住宅は、ウォークインクローゼットのような大きい収納を2階に設置するケースがよくありますが、老後の生活を考えて家を建てる場合は、1階に夫婦2人分のものを収納できる広さの収納スペースを設置すると便利です。
1階に収納スペースをつくると、先述のように1階だけで生活が完結する暮らしが実現し、老後の生活がより快適になるでしょう。
また、身体的な負担も軽減しやすくなります。
緩やかな階段にする
老後を考えて家づくりする際は、設計時から階段の傾斜を緩やかにしておくと安心です。
勾配が急な階段は上り下りが大変で、万が一足を踏み外すと転倒する恐れがあります。
そのため、老後も快適に使用できるように緩やかな階段にしておくと良いでしょう。
後からリフォームで緩やかな階段に変更することも可能ですが、決して安くはありません。
そのうえ間取りによって階段の勾配を緩やかにすると、これまで以上にスペースが必要になるため、リフォームが難しいケースもあります。
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2階建て住宅を、老後を考えた間取りにするには設計段階から将来を踏まえて考えることが大切です。
老後に体力が衰えたり病気になったりすると、住宅購入時と同じような生活を送れるとは限りません。
老後も快適に暮らすには、1階で完結する間取りにしたりバリアフリーにしたりしましょう。
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