平屋は階段がなく、すべての居室や設備がワンフロアに集約されており、介護のしやすい間取りづくりが可能です。しかし、被介護者・介助者がともに暮らしやすい家を建てるには、設計段階での工夫が不可欠です。
本記事では、介護しやすい平屋を設計するときのポイントや注意点を詳しく解説します。将来を見据えた住まいを建てたい方や、親世帯との同居を検討中の方は参考にしてください。
<このような方におすすめ>
●介護しやすい間取りに平屋がおすすめなのはなぜ?理由が気になる方
●介護しやすい平屋を実現するには?設計のポイントを押さえて家づくりを進めたい方
●平屋は建築費用が高額になりやすい?コストを抑える工夫を知っておきたい方
<この記事のまとめ>
●平屋は階段での転倒事故リスクを抑えられるほか、災害時に避難しやすい、効率的な動線を実現できるなどの理由で注目を集めている
●介護しやすい平屋を建てるには、車椅子目線でバリアフリー設備や通路幅を検討し、回遊動線も意識することが大切
●介護しやすい平屋づくりでは、国や地方自治体の制度を活用すると建築費用を抑えられる場合がある
INDEX
介護しやすい間取りに平屋がおすすめの理由

平屋は、介護しやすい間取りの設計に適した住まいです。本章では、平屋がおすすめとされる5つの理由を解説します。
なお、昨今は、異なる世代が一つの住まいで共に暮らす「多世代共生型住宅」も注目を集めています。注文住宅のトレンドについて詳しく知りたい方は、以下の記事を併せてご覧ください。
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階段での転倒・転落リスクを抑えられる
年齢を重ねて筋力やバランス感覚の低下により、階段の上り下りによる転倒・転落事故のリスクが高まります。平屋は生活がワンフロアで完結するため、階段を利用する必要がなく安心です。
動線がコンパクトで介護や家事負担を軽減できる
平屋はワンフロアの間取りでコンパクトな動線づくりがしやすく、介助者の身体的・精神的な負担の軽減につながる点もメリットです。
実際の暮らしをイメージしながら、寝室からトイレ・洗面所・浴室にアクセスしやすい間取りを設計するのがポイントです。平屋は階段による上下の移動がないため、掃除や洗濯といった日常の家事も効率的にこなせるでしょう。
ワンフロア設計なので家族の気配を感じやすい
平屋はすべての居室や設備がワンフロアに配置されているため、家族の気配を感じやすい点も特徴です。
物音や体調の変化に気付きやすいため、家族に万が一のことがあった際はすぐに対応できます。家族への声掛けが気軽にでき、コミュニケーションがおのずと増える効果も期待できるでしょう。
バリアフリーを取り入れやすい
2階建て住宅の場合、バリアフリー化には大規模なリフォームが必要です。エレベーターの設置が必要となると、費用面の問題も懸念されるでしょう。
一方、平屋は新築の段階で段差が少ない設計にできるなど、バリアフリーを取り入れやすい住まいといえます。出入口や廊下の幅を広めにしておけば、車椅子でもスムーズな移動が可能です。
災害時に避難しやすい
地震や火災などの災害発生時に、避難がしやすいのも平屋のメリットです。家族が要介護者のもとへすぐに駆け付けられるため、逃げ遅れるリスクを抑えられます。
また、家族が上階で荷物をまとめたり貴重品を探したりして降りてこないなど、統率がとれなくなるのを防げる点も強みです。
介護しやすい平屋の設計ポイント

介護しやすい平屋を実現するには、設計の段階で工夫を凝らすことがポイントです。
本章では、介護しやすい平屋づくりのコツを5つ紹介します
回遊動線を意識する
回遊動線とは、家の中をぐるりと回遊できる行き止まりのない動線設計のことです。室内をスムーズに移動できるため、介護が必要な家族と介助者双方の負担を軽減できます。
家族との会話や子どもの見守りがしやすいため、家事や育児の効率化を図りたい家庭にも適した間取りといえるでしょう。
十分な通路幅を確保する
介護しやすい住まいを建てるには、車椅子での通行を想定し、屋内外ともに十分な通路幅を確保することが大切です。廊下は極力短くして、滑りにくい床材を選ぶとよいでしょう。
玄関は出入りがしやすいように手すりやスロープを設置し、開口部を広くするのがおすすめです。
バリアフリーを意識する
バリアフリーを意識し、間取りや設備に以下のような工夫を凝らすのも効果的です。
- 被介護者が暮らしやすい間取りにする
- 廊下・ドアの数を減らす
- 手すりを設置する
- IoT住宅にする
被介護者の居室の近くにトイレ・洗面所・浴室を配置することで、介護者の負担も軽減されます。
移動しやすいように、居室同士を隣接させて廊下やドアの数を減らすのもおすすめです。廊下には、手すりを設置しておくと安心です。
また、昨今は住まいの設備をインターネットでつなぐIoT住宅が注目されています。設備や家電を連携させることで、スマートフォンや音声を利用した操作が可能です。
車椅子目線で収納やスイッチを配置する
介護しやすい家づくりには、車椅子目線の設計が不可欠です。医療機器や介護用ベッドの設置を想定して、収納やコンセントは多めに配置しておきましょう。
収納やコンセントだけでなくスイッチも、車椅子でも手が届きやすいように、高さにこだわることもポイントです。
引き戸を採用する
室内のドアは引き戸にしておくと、車椅子での移動がスムーズです。
上側のみにレールがついた上吊りのタイプであれば、床の凹凸がない完全なバリアフリー化を実現できるでしょう。転倒防止に効果的です。
介護しやすい間取りの平屋にするための注意点

続いては、介護しやすい平屋づくりの注意点を4つ紹介します。
家族が実際に生活する様子をイメージしながら、暮らしやすい間取りを設計しましょう。
玄関から寝室までの距離を短く設計する
玄関と寝室が離れていると、被介護者にとって移動が大きな負担となります。玄関から出入りしやすいところに寝室を配置することで、災害発生時に避難がしやすいメリットもあります。
駐車場やアプローチも車椅子に対応させる
介護サービスの利用や通院の可能性を考慮して、駐車場やアプローチの設計にも工夫を凝らすことが大切です。
広々としたスペースを確保し、勾配が緩やかなスロープや手すりを設置しておくことで、車の乗り降りがしやすい平屋が完成します。介助者の負担軽減にもつながるでしょう。
採光や換気で快適性を上げる
快適な住環境づくりを意識しながら、採光・通風計画を立てることも大切です。高齢者にとって日光は、心身の健康に良い影響を及ぼすとされています。
リビングやダイニングに大きな窓を設置することで、自然光が差し込む明るい空間づくりができます。新鮮な空気を取り込めるように、窓の開閉がしやすい設計や換気システムの導入も検討しましょう。
トイレはLDKと寝室の近く両方に配置する
介護しやすい平屋づくりでは、トイレを2つ以上設置するのがおすすめです。
一つは寝室付近に車椅子で出入りできるものを配置することで、被介護者がスムーズに利用できます。夜間の転倒リスクを軽減できる点も、メリットといえるでしょう。
もう1つは玄関やLDKの付近に設置すると、来客時や、家族が同時に利用したいときに便利です。
平屋を建てる際に費用を抑える工夫も大切
介護しやすい平屋を建てる際、仕様や設備にこだわりすぎて建築費用がかさむケースは少なくありません。
費用を抑えるには、以下のような工夫を凝らすのが効果的です。
- 希望の間取り・設備に優先順位をつけておく
- 理想の住まいを具体的にイメージし、予算の概算を事前に把握する
- メンテナンス費用を抑えるために高耐久・高品質な建材を取り入れる
- 国や地方自治体の制度を活用する
バリアフリーにどこまで対応するかは、住宅会社の担当者と相談しながら進めるのがおすすめです。費用を抑えたい場合は、被介護者の使用頻度が高い空間を優先的にバリアフリー化しましょう。
以下の記事では、老後に住まいを建て替えるメリット・デメリットを解説しています。建て替え・住み替え・リフォームにかかる費用も紹介していますので、参考にしてください。
介護しやすい平屋で将来も安心して暮らせる住まいをつくろう
介護しやすい住まいを実現するには、生活がワンフロアで完結する平屋がおすすめです。平屋には階段による転倒リスクを抑えられるだけでなく、効率的な動線で生活をしながら、万一の災害時にはスムーズに避難できるメリットがあります。
車椅子目線での生活をイメージしながら、家族全員が快適に過ごせる住まいを設計しましょう。
キノエデザインでは「深呼吸する家」をテーマに、高気密・高断熱・透湿性に優れた家づくりをしています。湿度や結露に悩まされない住環境を実現できるため、外出がしにくい家族も快適に過ごせます。
オンラインでも参加が可能な相談会を開催していますので、注文住宅の建築を検討中の方はぜひ一度ご相談ください。お客さまの理想の暮らしから考える、資金計画の相談も承っています。
介護しやすい平屋の間取りに関連するよくある質問
平屋は介護しやすい間取りですか?
平屋は、生活空間をワンフロアにまとめられるため、介護しやすい住宅といえます。階段の上り下りがなく、寝室・トイレ・浴室などを近くに配置すれば、本人の移動負担と介助者の負担を軽減できます。ただし、建物が横に広がることで移動距離が長くなる場合もあるため、コンパクトな生活動線を意識することが大切です。
介護しやすい平屋の間取りで重視すべきポイントは何ですか?
段差の少なさ、移動距離の短さ、通路の広さ、水回りの使いやすさが重要です。特に、介護を受ける方の寝室からトイレや浴室までを短い動線でつなぐと、夜間の移動や介助がしやすくなります。現在の身体状況だけでなく、将来的な車いすの使用や介護度の変化も想定して計画しましょう。
介護用の寝室はどこに配置するとよいですか?
介護用の寝室は、トイレ・洗面所・浴室に近い場所へ配置するのがおすすめです。リビングの近くに設ければ、家族が様子を確認しやすく、本人も孤立を感じにくくなります。一方で、来客時や就寝時に落ち着いて過ごせるよう、音や視線などのプライバシーにも配慮しましょう。
寝室からトイレまでの動線はどのようにするとよいですか?
寝室からトイレまでは、できるだけ短く、曲がり角の少ない動線にするのが理想です。途中の段差をなくし、夜間でも安全に移動できるよう足元照明を設けると安心です。将来、歩行器や車いすを使う可能性がある場合は、通路や出入口の幅にも余裕を持たせましょう。
介護しやすいトイレの間取りはどのようなものですか?
介助者が横に立てるスペースを確保し、寝室から近い位置に配置したトイレが使いやすい間取りです。出入口を引き戸にすると、車いすでも出入りしやすくなります。手すりの設置や車いすの方向転換も考慮し、一般的なトイレより余裕のある広さを検討しましょう。
介護しやすい浴室・洗面所のポイントは何ですか?
浴室・洗面所は、出入口の段差を減らし、介助者が動ける広さを確保することが重要です。浴室には滑りにくい床材を採用し、手すりや腰掛けを設置できるようにしておくと安心です。脱衣室と浴室の温度差を抑えるため、断熱性能や暖房設備も併せて検討しましょう。
介護しやすい廊下や出入口には、どのくらいの幅が必要ですか?
必要な幅は、使用する車いすや介助方法、曲がり角の有無などによって異なります。車いすでの移動を想定する場合は、通過できる幅だけでなく、方向転換や介助者が並んで動くためのスペースも必要です。廊下の壁から壁までの幅ではなく、ドアを開けた状態で実際に通れる「有効幅」を設計者に確認しましょう。
室内のドアは引き戸と開き戸のどちらが介護に向いていますか?
介護を想定した住宅では、引き戸が適しているケースが多くあります。開閉するときに身体を大きく前後させる必要がなく、車いすでも操作しやすいためです。また、室内で人が倒れた場合に、身体がドアの開閉を妨げるリスクも抑えられます。ただし、壁や収納との兼ね合いもあるため、場所ごとに選びましょう。
玄関はどのような間取りにすると介護しやすいですか?
玄関は、車いすや介助者が一緒に移動できる広さを確保し、道路や駐車場から室内までの段差を少なくすると使いやすくなります。ベンチや手すりがあると、靴の着脱時にも便利です。将来スロープを設置できるよう、玄関ポーチやアプローチに余裕を残しておく方法もあります。
駐車場から室内までの動線はどのように計画すべきですか?
駐車場から玄関までの距離を短くし、できるだけ段差がなく、雨にぬれにくい動線にすると介助の負担を軽減できます。車いすの乗り降りや介助を行う場合は、車の横に十分なスペースが必要です。屋根のあるアプローチや、駐車場から室内へ入りやすい出入口も検討しましょう。
介護しやすい平屋に回遊動線は必要ですか?
回遊動線は移動経路の選択肢を増やせますが、介護しやすい平屋に必須とは限りません。介護を優先する場合は、回遊性よりも寝室・トイレ・浴室を短く分かりやすい動線でつなぐことが重要です。面積に余裕があれば、行き止まりを減らし、介助者が移動しやすい回遊動線を取り入れるとよいでしょう。
介護しやすい家でも家族のプライバシーを確保できますか?
居室の配置や建具を工夫すれば、介護のしやすさと家族のプライバシーを両立できます。介護用の寝室をリビングや水回りの近くに置きながら、ほかの家族の寝室とは適度な距離を設ける方法があります。必要なときに見守りやすく、それぞれが落ち着いて過ごせる配置を検討しましょう。
介護しやすい家に高気密・高断熱性能は必要ですか?
高気密・高断熱住宅は、部屋ごとの温度差を抑えやすく、高齢者や介護を受ける方が過ごしやすい住環境づくりにつながります。特に、リビング・廊下・脱衣室・浴室などの温度差に配慮することが大切です。住宅性能だけでなく、空調・換気・日射まで含めて計画しましょう。
将来の介護に備えて、新築時にどこまで対応すべきですか?
すべての介護設備を最初から設置する必要はありませんが、後から変更しにくい部分は新築時に備えておくと安心です。通路や出入口の幅、寝室と水回りの配置、床の段差、手すりを取り付けるための壁下地などが該当します。現在は通常の居室として使い、将来は介護用寝室へ変更できる間取りも有効です。
キノエデザインでは、介護しやすい平屋の間取りを相談できますか?
キノエデザイン(秋山住研)では、家族構成や将来の暮らし方に合わせた、平屋やバリアフリー住宅について相談できます。高気密・高断熱と透湿性に配慮した「深呼吸する家」を展開しており、移動しやすい間取りだけでなく、室内の温度差に配慮した住環境も含めて検討できます。現在の介助方法や将来想定される身体状況を伝え、個別にプランを相談しましょう。