家づくりコラム
家の気密性能が重要なのはなぜ?C値の基準や気密性を上げる方法についても解説
目次
気密性能は、住宅内の空気を外部から遮断して温度や湿度を維持する能力を指し、快適な居住空間を実現します。特にエネルギー効率が求められる現代では、光熱費の削減にも寄与します。C値は住宅の気密性能を示す指標で、数値が小さいほど高い気密性を意味します。気密性能は快適性に直結する重要な要素です。
この記事では、家の気密性能について詳しく解説します。家づくりを検討している方はぜひ参考にしてください。
気密性能とは
現在、ほとんどの新築住宅が「高断熱・高気密住宅」となっています。気密性能とは建物の隙間を減らし、室内の空気を外部と遮断する能力です。この性能が高い住宅は、外気の影響を受けにくく、エネルギー効率が向上します。暖冷房で調整した室温を維持しやすく、快適な環境を保ちながら光熱費を抑えられ
高い気密性能を実現するには、施工方法や設計段階での細かな配慮が重要です。したがって、建物選びでは気密性能を重視することが大切です。
高断熱・高気密住宅の基本
高断熱・高気密住宅は、断熱性能と気密性を同時に高めることが基本です。優れた断熱性能は省エネルギーに寄与しますが、気密性が低いと隙間から風が侵入し、効果が薄れます。気密性が高いと外部からの湿気や外気の影響を受けにくくなり、室内の快適性が向上します。温度差による不快感を軽減し、より良い生活環境を実現するためには、高気密・高断熱が理想です。
高気密高断熱の家で後悔すること|有効な対策6選をポイント解説について詳しくはこちら
C値とは
C値とは、住宅や建物の気密性能を示す「相当隙間面積」の指標です。数値が小さいほど気密性が高く、C値は隙間面積を延床面積で割って求めます。単位は「cm²/m²」で、例えばC値が5なら1平方メートルあたり5平方センチメートルの隙間があることを意味します。この数値を基に、住宅の快適性やエネルギー効率を評価し、高いC値は快適な住環境には望ましくありません。
C値の計算方法と測定方法
C値は一般的に気密測定機器を使用して算出します。測定は室内の気圧を低下させ、外部からの空気の流入量を計測することで行います。数値が小さいほど隙間が少なく、気密性が高いとされます。得られたC値は、建物のエネルギー効率や快適性を示し、改修や対策の判断材料となるため、正確な測定が重要です。
測定方法については下記記事にて詳しく解説しております。
【気密測定】の記事はこちら▶
気密性能が重要な理由
気密性能は住宅内の空気の流れを制御し、快適さとエネルギー効率を向上させます。これにより、温度や湿度の安定が図られ、住宅の劣化防止にも寄与します。ここでは、気密性能が重要な理由について解説します。
光熱費の節約
気密性能が高い住宅は、エアコンの効果を最大限に引き出します。隙間が少ないため冷暖房効率がよく、運転時間が短くて済むからです。これにより、光熱費の節約が期待できます。
特にC値が低い建物では、外気の影響を抑えることができるため、エネルギー消費を抑えることができます。さらに、適切な気密性能が保たれていれば、住宅の劣化を防ぐ要素にもなるため、長期的にはメンテナンスコストの削減につながります。
効果的な空気の入れ替え
住宅においては24時間換気が必要不可欠です。しかし、気密性能が低ければ、外部から侵入する空気の量が多くなり、逆に空気の質が悪化する恐れもあります。
高い気密性能を確保することで、適切な換気が行えるようになり、室内の空気を効果的に入れ替えることができます。負圧を維持することにより、外部からの不必要な虫やホコリの侵入を防ぎながら、室内の空気環境を改善します。
断熱性能の維持
耐熱性と気密性は密接に関連しています。断熱性能が高くても気密性能が低ければ、冷暖房の効果が半減してしまいます。したがって、断熱性能を維持するためには、気密性能を向上させることが重要です。
気密性の高い住宅では、外部の環境からの干渉が抑えられるため、室内の温度を安定的に保つことができます。これにより、快適な住環境を持続させやすくなります。
快適な湿度の保ち方
木造住宅では、湿度の管理が特に重要です。気密性能が高いことで、外部からの湿気の侵入を抑え、建物内の湿度も安定させることができます。湿度が過剰になると、カビやダニが発生し、健康問題にもつながります。
また、適度な湿度が保たれることで居住空間が快適になるため、住み心地を向上させます。これにより、長期間にわたり心地よく過ごせる住環境が形成されます。
結露の防止
結露については、特に木造住宅での問題が顕著です。C値が低い住宅では、空気の流れが制御され、隙間からの冷気や湿気の侵入が抑えられます。これにより、壁や窓に結露が発生しにくくなり、構造材の劣化を防止します。
結露の発生を抑えることは、住宅の耐久性だけでなく、住環境の快適性を向上させる観点からも非常に重要です。結露の管理を徹底することが、健康で快適な住まいを維持する鍵となります。
汚染物質の侵入防止
負圧を保持することで、外部からの汚染物質の侵入を防ぐことができます。気密性能が高ければ、室内の空気を効果的に循環させることが可能となり、虫や外気中のホコリ、花粉といった不快な物質が侵入しにくくなります。これにより、アレルギーや喘息の原因を減少させることにつながります。
特に小さな子どもや高齢者がいる家庭では、空気環境の管理が非常に重要です。
ヒートショックのリスク低減
気密性能とは、住まいの温度分布の均一性を保つ重要な要素です。冬場、暖房の効いた部屋と寒冷な場所との温度差が大きくなると、ヒートショックを引き起こすリスクが高まります。
高気密の住宅では、これらの温度差が少なくなるため、突然の温度変化を避けることができます。これにより、住環境がより安全なものになります。
防音効果の向上
気密性能が高い住宅は、周囲の音を効果的に遮断することが可能です。音の進入を防ぐことにより、外部からの騒音が少なく、より静かな居住空間を実現します。これにより、リラックスできる住環境が整い、居住者の快適度が向上します。
特に都市部に住む場合、周囲の音が生活に大きな影響を与えるため、防音効果の高い住宅は大きな魅力となります。
床・足元の冷え防止
気密性能とは、特に基準を満たした住宅において、床や足元の冷えを防ぐ重要な要素です。適切な気密性が確保されている場合、外気からの冷気が流入しにくくなり、暖房の効果が持続します。これにより、暖房を効率良く使うことができ、寒い季節も快適に過ごせる環境が整います。
住環境において足元の温度が安定すると、健康面でもプラスとなることが大いに期待されます。
気密性能を上げるには
気密性能を向上させるためには、隙間を減らし、断熱性と気密性を強化することが重要です。これにより快適な住環境とエネルギー効率が向上し、カビや結露を防げます。ここでは、気密性能を上げる方法について解説します。
断熱材と気密シートの使用
断熱材と気密シートを適切に利用することで、住宅の気密性を高めることができます。断熱材は熱の伝導を防ぎ、湿気の侵入も抑えます。一方、気密シートは隙間風を防ぎ、内部温度を安定させます。
施工時には配管周りや壁の隅など、小さな隙間ができやすい部分に注意が必要です。高品質な素材を選び、正しい施工方法を守ることで、住宅全体の気密性が大きく向上します。
窓や玄関の気密性向上
気密性を高めるためには、特に窓や玄関の施工が重要です。気密性の高いサッシを選ぶことで熱損失を減少させ、快適な室内環境を実現できます。
また、窓や玄関ドアの隙間には気密テープやシーリング材を使用し、空気の漏れを防ぐことが大切です。これにより、住宅全体のエネルギー効率が向上し、省エネルギーな住環境を得ることができます。
目指すべきC値の基準
C値は住宅の気密性能を示す指標で、一般的には低いほど良好です。新築住宅では2.0cm²/m²以下が望ましく、高気密住宅では1.0cm²/m²以下が目標です。ここでは、目指すべきC値の基準について解説します。
C値の具体的な値とその意義
C値とは、建物の隙間面積を延床面積で割った値で、「cm²/m²」で表されます。例えば、C値が5.0cm²/m²なら、1㎡の床面積に対して5cm²の隙間があります。C値が低いほど気密性が高く、住宅購入時の重要な指標です。測定することで快適な環境が保たれ、安定した室温や湿度が得られるため、居住者が健康で快適に過ごせる住まいが実現します。
高気密住宅の目標C値
高気密住宅では、C値を0.5cm²/m²以下に設定することが重要です。この水準を達成することで、外気の影響を抑え、室内の温度や湿度を安定させることができます。C値が低い住宅は光熱費の削減や結露防止にも効果的です。また、気密性能が良好な住宅は寿命が延び、安心して住み続けられます。高気密住宅を選ぶ際は、目標とするC値を理解して検討することが大切です。
C値を上げるための方法
ここでは、C値を上げるための方法について紹介します。
断熱材
断熱材は本来、断熱性能を確保するための建材ですが、吹付ウレタン断熱材(アクアフォームやアイシネンなど)は気密性も向上させることができます。これらのウレタンは接着剤のように柱に密着し、隙間をなくす効果があります。また、ウレタンが膨張することで、さらに隙間を埋める役割も果たし、結果として高い気密性能を実現します。
気密用のシート
気密性能を向上させるためには、気密用のシートを使用することが効果的です。このシートは断熱材とは異なり、屋内側に貼ることで隙間を塞ぎ、外気の侵入を防ぎます。例えば、シートを壁や天井にしっかりと貼り付け、接合部はテープで密閉することで、より高い気密性を実現できます。
構造躯体
構造躯体において気密性能を向上させるためには、適切な断熱材の選定が重要です。例えば、セルロースファイバーを使用することで、湿気を壁体内に流通させながら空気を遮断することが可能です。このような材料は、構造用の板材としても機能し、気密性を高める役割を果たします。
また、施工の際には長期的に気密が維持されるように、信頼できる施工会社の意見をしっかりと確認することが大切です。
窓の種類
窓の種類は気密性能に大きく影響します。特に、引き違い窓や上げ下げ窓は隙間が多く、気密性が低いため注意が必要です。一方で、縦すべり窓のようにドア式で開閉できる窓は、隙間が少なく気密性能が高いです。
窓を選ぶ際には、開口部の気密性能を事前に確認することが重要です。また、玄関ドアも同様に、ドア自体の性能だけでなく、取り付け方によって隙間が変わるため、専門家にチェックしてもらうことをおすすめします。
気密性能を把握して、家づくりに役立てましょう
気密性能とは、外部からの空気の侵入を防ぎ、室内の温度と湿度を安定的に保つ住宅の能力です。気密性を示す指標であるC値は、数値が低いほど隙間が少なく優れた性能を表します。高気密住宅は冷暖房効率が良く、光熱費の節約や結露の防止、さらには防音効果にもつながります。
快適で長持ちする住まいを求めるなら、気密性能やC値に注目して選ぶことが大切です。住宅を選ぶ際には、高気密住宅のメリットをぜひ考慮してみてください。
キノエデザインは、兵庫県を中心に注文住宅の施工を行っています。お客様のご要望をしっかりとお伺いしたうえで、高性能で居心地の良い健康住宅をご提案しますので、家づくりの際はお気軽にご相談ください。
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▼よくある質問
気密性能に関するよくある質問
気密性能のc値の基準は?
気密性能のC値は、住宅の気密性を示す指標で、住宅の隙間面積を延べ床面積で割った値を指します。一般的に、C値が小さいほど気密性が高いとされます。日本の住宅におけるC値の基準としては、次世代省エネルギー基準である「平成11年基準」では、寒冷地で2.0cm²/m²以下、その他の地域で5.0cm²/m²以下が目安とされています。高気密住宅を目指す場合、C値1.0cm²/m²以下を目標とすることが多いです。気密性能が高いと、冷暖房効率が向上し、省エネルギー効果が期待できます。
気密性の基準は?
気密性の基準は、住宅の断熱性能やエネルギー効率を高めるために重要な要素です。日本では、気密性を示す指標として「C値」が用いられています。C値は、建物の隙間面積を延べ床面積で割った値で、単位はcm²/m²です。一般的に、C値が小さいほど気密性が高いとされます。高気密住宅では、C値が1.0cm²/m²以下を目指すことが多いです。気密性を高めることで、冷暖房効率が向上し、快適な室内環境を維持しやすくなります。
気密性が高い家の特徴は?
気密性が高い家は、外部からの空気の侵入や内部の空気の漏れを最小限に抑える設計がされています。これにより、室内の温度を一定に保ちやすく、省エネルギーで快適な住環境を実現します。具体的な特徴としては、断熱材の充実、気密シートや防湿シートの使用、窓やドアの高性能な気密パッキンの採用などがあります。また、換気システムを適切に設置することで、空気の流れをコントロールし、健康的な室内環境を維持することが可能です。
一般住宅の気密性はどのくらいですか?
一般的な住宅の気密性は、建物の断熱性能や施工方法によって異なります。気密性を高めることで、室内の温度を一定に保ち、エネルギー効率を向上させることができます。具体的には、気密測定でC値(相当隙間面積)を用いて評価され、数値が小さいほど気密性が高いとされます。高気密住宅では、C値が1.0以下を目指すことが一般的です。気密性を高めるためには、窓やドアの隙間を減らし、断熱材や気密シートを適切に施工することが重要です。