家づくりコラム
災害に強い家とはどんな家?事前に備えられる対策を紹介
目次
理想のマイホームを建てたいと考える方の中で、地震やその他の災害リスクが気になり、住宅購入に踏み切れないという方も少なくありません。しかし、どのようなポイントを押さえておくと良いかあらかじめ把握しておくことで、有事に備えて災害対策をとることが可能です。
本記事では災害に強い家の特徴や、災害に強い家を建てるためのポイント、災害時に役立つ設備などを紹介します。これから家づくりを検討されている方は、ぜひ最後までご覧ください。
災害に強い家の特徴
災害に強い家とは、災害に強い家づくりのポイントが押さえられている家のことを指します。具体的には、災害時に家屋の倒壊や命に関わる事態になる可能性が低く、災害リスクへの対策が施されている家のことです。
地震への対策でいえば、耐震等級のランクが高いほど耐震性が高く、災害に強い家として評価されます。家づくりは外観や内装のデザイン、素材などに目が行きがちですが、この先何十年も住み続けることを考えると、安全かつ快適に暮らせる家づくりを心がけたいものです。
災害に強い家をつくるためのポイント
ここでは災害に強い家づくりをするために、押さえておきたいポイントを5つ解説します。
土地
災害のリスクを減らすには、建物以前に安全な土地を選ぶことが重要です。都道府県や市区町村が公表しているハザードマップを確認し、浸水や土砂災害、地震の際の揺れやすさなどを確認しておきましょう。
また、建物を建築する際には地盤調査が必須となっており、地盤の強さや地層の種類、液状化が起こる可能性、地下水までの深さを知ることができます。地盤調査の結果に納得できない場合は、ほかの土地を探すのも一つの方法です。
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構造
災害に強い家づくりのポイントとして、構造を重視することも挙げられます。地震による倒壊を防ぎたい場合は、建物の耐震性能を示す指標の「耐震等級」に着目すると良いでしょう。耐震等級は1〜3まであり、数字が大きいほど耐震性が高いことを表しています。自身や家族が希望する耐震等級に応じた構造を採用しましょう。
建物の形はシンプルであるほど揺れを分散できるため、住宅の負荷を減らすことが可能です。1階と2階が同じつくりになっている2階建ての家は、地震に強い構造の良い例といえます。
設備
万が一災害が起こってしまった際に備え、便利な設備をあらかじめ採用しておくことも大切です。日中の電気を賄える太陽光発電システムや蓄電池、水道が止まってしまった際に水を使える雨水タンク、防災グッズや食料を保管しておけるパントリーなどが挙げられます。その他、窓ガラスの飛散や火災時の燃え広がりから身を守れるシャッターなども、命を守ってくれる設備です。
間取り
柱や壁が少ない住宅は家を支えられる部分が少なくなるため、災害に弱い家になりやすいといえます。例えば、大きな吹き抜けや大きな開口部、2階部分がせり出したオーバーハングの構造などは、地震の揺れに弱くなりやすい間取りとなるため注意が必要です。
先述のとおり、できるだけシンプルな間取りのほうが、住宅の破損や倒壊が起こりにくく安心です。また、造り付けの家具や収納を設けることで、大きな揺れによる家具の転倒を防ぎ、避難経路を塞いでしまうなどのリスクを軽減できます。
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耐久性
構造以外に、建物全体の耐久性を意識した家づくりを行うこともポイントです。たとえ強い構造でつくられた家であっても、雨漏りや結露などで建物が腐食すると、弱い家になってしまう可能性があります。
外壁や屋根の素材を選ぶ際は、できるだけ簡易的なメンテナンスでも耐久性を維持できるものを選びましょう。耐久性を考える際は、同時に耐震性も重視することをおすすめします。耐震等級については以下の記事で詳しく紹介しているので、併せて参考にしてみてください。
※関連記事:耐震等級とは
災害時に役立つおすすめの設備
ここからは、災害に強い家を実現するために採用したいおすすめの設備を7つ紹介します。建物だけでなく、設備でも安全性をカバーしたい方はぜひ参考にしてください。
太陽光発電
太陽光発電とは自宅の屋根に太陽光パネルを設置し、太陽のエネルギーによって電気をつくるものです。太陽光発電は、省エネ住宅などで電気代の節約や売電収入を目的として設置されることが多い設備ですが、災害による停電時の非常用電源としても利用できます。ただし、太陽光発電は日照時間の短い地域や屋根の方角によっては十分に活用できないこともあるため注意が必要です。
蓄電池
蓄電池は電気を貯蔵できる設備です。太陽光パネルで自家発電した電気はもちろん、電力会社から購入した電気を貯めておくこともできます。電気を蓄えていれば、夜間や天気の悪い日でも活用できることがメリットです。また、太陽光発電と併用することで、発電した電気を無駄なく消費できるうえ、災害時にも役立つのでおすすめです。
エコキュート
エコキュートとは、少ない電力で大気の熱を集め、その熱でお湯を沸かす仕組みのヒートポンプ給湯器です。電気エネルギーのみでお湯を沸かす場合と比較すると、約3分の1の消費電力でお湯を沸かせるため、省エネ設備として多くの住宅で採用されています。エコキュートは、常にお湯が溜まった状態を保っている設備であるため、災害時には生活用水として活用することが可能です。
雨水貯留タンク
雨水貯留タンクとは、雨樋から流れ落ちる雨水を貯めておくタンクのことです。飲み水には使用できないものの、トイレを流す水として活用できるため、断水時に役立ちます。雨水貯留タンクに溜まった水は、災害時以外にも洗車や庭の水やりに使用できるため、普段の生活における節水効果も期待できます。
電動シャッター
台風や地震による衝撃で窓ガラスが割れると、家の中に入り込んだガラスで怪我をしたり、雨風が吹き込んだりするリスクが発生します。また、火災が発生すると延焼するリスクもあることから、電動シャッターや雨戸があると安心です。シャッターは災害時のみならず、防犯・防音などにも役立つため、新築の際は検討してみましょう。
パントリー
パントリーとはキッチンの周辺に設けた収納のことを指し、食料品や防災アイテムを備蓄しておく場所としても活用できます。パントリーを設けることで、キッチンに物が溢れず、普段からスッキリとした空間を保てることもメリットです。また、キッチンの横にあるため普段使いしやすく、賞味期限の確認もこまめにできるため、まとめ買いが多い方にも便利な収納といえます。
造り付け家具・収納
家の間取りに合わせてつくる造り付け家具は、見た目がスッキリするだけでなく、災害時の家具転倒の心配を軽減できることも特徴の一つです。収納スペースもあらかじめ埋め込みなどでつくっておくことで、日用品を多めにストックできるだけでなく、室内を広く使えるというメリットも生まれます。
家以外の有効な防災対策
災害に強い家を建てたい場合、構造や設備にこだわることも重要ですが、家以外にも災害時に有効な対策があります。以下に、家以外でできる防災対策を3つ紹介します。
備蓄品を準備する
災害が発生したときに備えて、普段から生活必需品を備えておくことが大切です。災害時はガスや電気、水が使えなくなり、食糧が確保できなくなることが予想されます。食糧だけでなくトイレットペーパーや歯ブラシ、簡易トイレなど、最低限必要なものをリュックや大きな袋にまとめ、すぐに持ち出せる場所に保管しておきましょう。
家族で災害発生時の対応を決める
万が一の災害が起こった際、家族でどのような対応をするか事前に話し合っておくことも重要です。家の中の安全な場所の確認、避難場所の確認、連絡が取れないときの対応方法、非常持ち出し品の置き場所などを共有しておきましょう。災害時にどのように行動するのかシミュレーションしておくことで、慌てず冷静な判断ができる可能性が高まります。
保険に加入する
災害が起こった際の金銭的負担を抑えるため、火災保険や地震保険には加入しておきましょう。保険の種類によってカバーできる範囲が異なるため、家庭ごとに合った商品を見極めることが大切です。また、火災保険と地震保険では対象となる災害が異なるため、可能であれば2つセットで加入しておくことをおすすめします。
知識を蓄えて災害に強い家をつくろう
いつどこで大きな災害が起こるかわからない昨今では、誰もが災害に備えて日々の生活を送ることが望ましいといえます。災害時に起こり得るハプニングや足りなくなるものを想定し、普段から災害に対する知識と非常用品を備えておきましょう。
災害に強い家を建てるためには、土地選びや建物の構造、耐久性、設備などさまざまな観点からの配慮が必要となります。キノエデザインでは耐久性や耐震性を備えた、長く安心して住める家づくりを提供しています。災害に強い家づくりをご検討中の方は、ぜひキノエデザインまでご相談ください。
災害に強い家に関するよくある質問
災害に一番強い家は?
災害に一番強い家とは、地震や台風、洪水など様々な自然災害に対して耐性を持つ家です。
具体的には、耐震構造を備えた家や、高い基礎を持ち洪水に強い家、強風に耐えることができる構造を持つ家などが挙げられます。
また、火災に強い非燃材料を使用した家も災害に強いと言えます。
これらの特性を兼ね備え、さらに日常のメンテナンスがしっかりと行われている家が、災害に一番強い家と言えるでしょう。
それぞれの地域のリスクに合わせて、専門家と相談しながら最適な設計を選ぶことが重要です。
災害に強い家を作るには?
災害に強い家を作るためには、以下のポイントを考慮することが重要です。
- 地盤の強化
家を建てる前に、地盤調査を行い、必要に応じて地盤改良を実施します。地震や洪水に強い基礎を作ることが重要です。
- 耐震設計の採用
耐震性能を高めるための設計を採用し、建築基準法に準拠した耐震構造を確保します。さらに、耐震性を超える「制震」や「免震」技術の利用も検討します。
- 風災害への対策
台風や強風による被害を防ぐため、屋根や壁の強度を高める設計を採用します。また、窓にはシャッターや強化ガラスを使用することで、飛来物による被害を軽減します。
- 水害対策
洪水や浸水から家を守るために、家の位置を高く設定する、防水性の高い材料を使用する、排水設備を充実させるなどの対策を講じます。
- 適切な材料の選択
耐久性の高い材料を選択し、長期間にわたって災害に対する耐性を保持できるようにします。
- 定期的なメンテナンス
災害に強い家を維持するためには、定期的なメンテナンスが不可欠です。特に、屋根や外壁、基礎などの点検を定期的に行い、必要に応じて補修や強化を行います。
災害に強い家を建てるためには、設計段階からこれらのポイントを考慮し、専門家と十分に相談しながら計画を進めることが大切です。
水害に強い家ランキングは?
水害に強い家をランキングする際には、様々な要素が考慮されますが、直接的なランキングは存在しないため、一般的に水害に強い家の特徴を基にした情報を提供します。
- 浸水対策が施された家
床を高く設計したり、防水ドアや防水シャッターを設置している家。
- 耐水性の高い材料を使用した家
外壁や床材に耐水性の高い材料を使用し、水害時の被害を最小限に抑える設計。
- 排水設備が充実している家
雨水排水システムやバックウォーターバルブなど、水害時に内部への水の侵入を防ぐための設備が整っている家。
- 高台に建てられた家
水害のリスクが低い高台に建てられ、自然の地形を利用して水害から守られている家。
- 浮上式住宅
水位が上昇すると浮上する設計の住宅。海外での事例があり、日本でも研究が進められています。
これらの特徴を持つ家は、水害に強いと考えられますが、完全なランキングではなく、家を選ぶ際の参考点としてご利用ください。また、地域の洪水リスクや過去の水害の歴史なども考慮することが重要です。