家づくりコラム
【注文住宅づくり】建て替え時の全体の流れや費用相場、注意点とは
目次
注文住宅を建てる際、まず土地探しから始めるものというイメージがありますが、すでに土地と家屋を所有している場合は既存の住宅を解体して建て替える方法もあります。また、活用されていない実家を建て替えれば、生まれ育った思い入れのある場所で暮らすことも可能です。
建て替えには古家の解体工事が含まれるため、更地に家屋を建てる新築工事とは工事の流れや期間、費用などが異なります。建て替えによる注文住宅づくりをする際は、必要な工事や費用についてしっかりと把握しておきましょう。
この記事では、建て替えの流れや費用相場、チェックしておきたい注意点について解説します。「古い自宅を建て替えたい」「実家の土地を有効活用したい」などと考えている方は、ぜひ参考にしてください。
建て替えの流れ
まずは、建て替えを決めてから新しい注文住宅が完成するまでのプロセスがどのように進んでいくのかを確認しておきましょう。建て替えの流れを順番に解説します。
建て替え計画を立てる
まずは建て替えの計画を立てましょう。全体の流れを把握し、予算を決めたり建て替え時期の目安を決めたりすることから始めます。計画を立てるにあたって大切なのは「現状にどういった問題があり、建て替えが必要だと感じたのか」を整理しておくことです。動機や目的を明確にすることで、建て替え時の住宅に求める条件の優先順位を決めやすくなり、最終的な満足度が高くなるでしょう。建て替え計画に必要な期間は1ヶ月程度です。
建築会社選び
建築会社の選び方は通常の注文住宅づくりと同様で、設計が自分好みのデザインかどうか、担当者の人柄が信頼できるかなどを確認し、複数の建築会社から選定します。
会社ごとにコンセプトや得意な分野、使用する建材や建築費、アフターサービスなどが異なるため、ざっくりした条件でも相見積もりを取るのがおすすめです。資料を取り寄せたりモデルハウスを見学したりする必要があるため、最終的な決定までに1ヶ月程度かかると考えておきましょう。
プランの打合せ・見積り
建築会社を決めたら、担当者と具体的な打合せをする段階へと進みます。住宅の間取りや仕様、必要な設備などが決まれば、費用もより具体的に算出できます。今後の方針や費用が決まる重要なプロセスであり、すべての打合せを終えるのには2~3ヶ月程度かかるでしょう。
工事請負契約の締結
プランや見積りが決定したら、建築会社と工事請負契約を締結します。トラブル回避のためにも契約内容を隅々まで確認し、不明点があれば遠慮なく担当者に尋ねましょう。100%納得したうえで署名・捺印することが重要です。契約にかかる期間は、建築プランや見積りが確定してから2週間程度です。
住宅ローンの申し込み・審査
契約締結後、金融機関に建築プランや見積りを提出し、住宅ローンを申し込みます。住宅ローンの審査には事前審査(仮審査)と本審査があり、工事請負契約を締結する前に事前審査を申し込むことも可能です。
古い住宅の解体工事も建築会社が行うのであれば、解体費用も含めた見積りが必要です。申し込みから住宅ローンの契約までには1~2ヶ月程度かかります。
解体業者選び
建て替えの際は、既存の住宅を解体しなくてはなりません。建築会社によっては解体工事を依頼できたり、解体業者を紹介してもらえたりする場合もあるため、打合せ時に確認しておくと良いでしょう。
できるだけコストカットしたい場合や信頼できる業者に依頼したい場合は、自分で複数の解体業者に相談したうえで相見積もりを取ることをおすすめします。解体業者の選定は1ヶ月程度です。
仮住まい先への引越し
建て替えでは、解体工事が始まる前に自宅を出て仮住まいに引越す必要があります。仮住まい先に選ばれるのは、一般的な賃貸アパートやマンション、マンスリーマンションなどです。また、一時的に夫妻の実家に住むこともあります。
仮住まいの物件探しや引越し準備にはある程度の時間がかかるため、打合せや解体業者選びといったプロセスと並行して進めましょう。期間は1~2ヶ月程度かかります。
解体工事/地盤調査・改良工事
解体工事が済んだら、新築工事に取りかかる前に法律で義務付けられている地盤調査を行います。既存住宅の築年数が古い場合は、長期にわたって地盤が調査されていないことになるため特に重要です。
調査の結果、地盤に問題があると判断されれば改良工事が必要になる可能性があります。解体工事に約1ヶ月、地盤調査と改良工事には2週間~1ヶ月程度かかります。
建て替え工事
建て替え工事は、通常の新築工事と同じく基礎工事からスタートします。工期によって仮住まい先での居住期間が変わってくるため、担当者に工期に遅れが出ていないか確認しながら進捗を見守りましょう。建て替え工事にかかる期間は、3~6ヶ月程度です。
完成・引き渡し
建物が完成した後は、確認のうえ引き渡しとなります。確認時に不備が見つかれば、補修工事をしてもらわなくてはなりません。補修工事が発生することは珍しくないため、仮住まいの契約期間などにある程度の余裕を持っておきましょう。
一般的には住宅の引き渡し日が住宅ローンの融資実行日および決済日となり、登記も完了させる必要があります。建物の完成から実際の引き渡しまでにかかる期間は、2週間~1ヶ月程度です。
【項目別】建て替えにかかる費用相場
以下の表は、建て替えにかかる費用相場を項目別にまとめたものです。
内訳 | 詳細 | 費用相場 |
解体費用 | 木造 | 1坪あたり3万~5万円 |
鉄骨造 | 1坪あたり4万~6万円 | |
鉄筋コンクリート造・鉄骨鉄筋コンクリート造 | 1坪あたり6万~8万円 | |
建築費用 | 地盤調査費用 | 5万~30万円 |
地盤改良工事費用 | 1坪あたり1万~6万円 | |
設計料 | 建築費用の2~5%程度 | |
新築費用(木造) | 1坪あたり50万~70万円 | |
新築費用(鉄骨造) | 1坪あたり80万~90万円 | |
新築費用(鉄筋コンクリート造・鉄骨鉄筋コンクリート造) | 1坪あたり90万~140万円 | |
諸費用 | 仮住まい費用 | 100万~200万円 |
トランクルーム利用料 | 10万~30万円 | |
引越し費用(2回) | 20万~30万円 | |
印紙税 | 1万~3万円 | |
不動産取得税 | (評価額-1,200万)×3% | |
登記費用(登録免許税を含む) | 10万~20万円 | |
住宅ローン手数料 | 借入金額の2.2%程度 | |
火災保険・地震保険料 | 保険期間5年で20万~35万円 |
上記の費用はあくまでも相場であり、住宅の規模や仕様、建築会社などによって大きく変動します。また、諸費用には必ず発生するものと一部のケースのみ発生するものがあるため、参考データとして把握しておきましょう。
建て替え時の4つの注意点
建て替えには「土地探しの手間が省かれる」「土地代がかからない」といったメリットがありますが、土地探しから始める注文住宅づくりとは異なる懸念点があります。計画を進める前に、建て替えならではの注意点を確認しておきましょう。
建て替えできる土地かどうか事前に確認する
建て替えで最も注意すべきことの一つは、土地によって再建築不可で建て替えができないケースがあることです。特に古くから建っている住宅の建て替えで多く見られるケースで、建築当時は問題がなかったとしても、建築基準法の改正によって建て替え不可となっている可能性があります。建て替え計画を立てる前に、まずは建て替え可能な土地かどうかを役所で確認しましょう。
ただし、再建築不可の土地でも特例措置によって許可が出る場合があります。どうしても今ある土地を活用したい場合は、役所に相談してみると良いでしょう。
将来の家族構成やライフステージも考慮して設計する
建て替えの目的は人ぞれぞれですが、基本的に一度建てた住宅には長く住むことになります。設計の段階でライフステージや家族構成が変わっても不便にならないことを意識しておくと、快適に住み続けられるでしょう。結果としてリフォームなどをせずに済めば、長期的なコストカットにもつながります。
よくあるケースとして「子どもの独立で夫婦2人暮らしになる」「結婚した子どもと二世帯で同居する」といったことが起こり得ます。子ども部屋を将来的にリビングとつなげて使えるようにするなど、変化を考慮したうえで設計することが大切です。
地盤改良が必要な場合がある
地盤調査の結果次第では、地盤改良工事が必要になる可能性があります。地盤改良工事は100万円以上かかることもあり、決して安くはありません。しかし、地盤が弱いままでは家が傾いたり外壁がひび割れたりすることもあり、最悪の場合は住み続けられなくなってしまいます。万が一の災害に備えるという意味でも、必要に応じて地盤改良工事は実施するようにしましょう。
ただし、一般的には既存住宅を解体してからでないと地盤調査が難しいため、計画時点では地盤改良が必要かどうかがわかりません。そのため、あらかじめ改良工事にかかる費用も含めて資金計画を立てておくことをおすすめします。
近隣住民への配慮が大切
建て替えには解体工事と建築工事の両方が必要で、どうしても工期が長くなりがちです。騒音や振動、土埃などで近隣住民に迷惑をかける可能性があるため、最大限の配慮が求められます。
交流のあるご近所同士でも、建て替え工事が原因でトラブルに発展するケースは少なくありません。工事を始める前に、挨拶や通知を忘れずに行いましょう。その際はお隣さんだけでなく、迷惑をかける範囲にある住宅すべてに挨拶するのが無難です。挨拶に伺う際は、タオルや洗剤といった気を遣わせない価格の手土産も用意しておきましょう。
建て替えによる注文住宅づくりで自宅の暮らしをより快適に
既存住宅を取り壊して建て替えるには、建て替え可能かどうかの確認や仮住まいの手配など、土地探しから始める注文住宅づくりとは勝手が違う点がたくさんあります。まずは建て替えの全体プロセスを把握したうえで信頼できる建築会社に相談し、理想の暮らしを叶える家づくりを目指しましょう。
キノエデザインでは、家族が安全かつ快適に過ごせる注文住宅を提供しています。建て替えをご検討の際は、ぜひご相談ください。