家づくりコラム
住宅ローン審査に落ちる理由とは?審査基準や通るコツを紹介
目次
注文住宅やマンションといったマイホームを購入する際、多くの方は住宅ローンを利用します。しかし実際にお金を借りるには、金融機関が実施する審査をパスしなければなりません。住宅ローンを組めば、手元にある資金だけでは購入できない高額な家を買うことができ、理想とする暮らしを実現することが可能です。
本記事では、住宅ローン審査では何が重視されるのかを紹介しつつ、審査に通りやすくなるために知っておきたいポイントなどを解説します。これから住宅ローンを利用してマイホームを購入したいと考えている方は、ぜひ参考にしてください。
住宅ローン審査とは
マイホームを購入するときは、ほとんどの方が住宅ローンを活用して融資を受けます。住宅ローン審査とは、金融機関が融資を受けたい方の返済能力などを調査し、融資の可否を判断するものです。審査に落ちた場合は融資を受けることができず、融資ゼロでマイホームを購入したり建てたりするにはそれなりの資金力が求められます。マイホームを購入するのであれば、住宅ローン審査に通るための工夫が必要だといえるでしょう。
住宅ローン審査の流れ・期間
住宅ローンの審査には一般的に「事前審査(仮審査)」と「本審査」があります。仮審査では主に返済能力がチェックされ、本審査では健康状態などのさらに踏み込んだ部分の確認が行われます。審査の結果が出るまでにかかる期間は、事前審査が3~4日、本審査が1~2週間程度です。ただし利用するローンによっては、さらに時間がかかることもあります。また、昨今ではインターネット経由で申し込む住宅ローン審査も増え、仮審査であれば即日、本審査でも3~4日で完了するなど、より短期間で審査を完了させることが可能です。
住宅ローン審査の基準
金融機関が住宅ローンの審査を行う際は、複数の項目をチェックしたうえで最終的な判断をします。具体的な審査項目については、国土交通省住宅局が公表している「令和4年度 民間住宅ローンの実態に関する調査 結果報告書」で確認可能です。ここでは、数ある審査項目の中で特に重要視されているものをピックアップして解説します。
年齢
借入時と完済時の年齢に制限が設けられているケースがほとんどです。住宅ローンは数年から数十年という長期にわたって返済するものであり、特に完済時の年齢が重視されます。できるだけ若いうちに申し込んだほうが、審査に通りやすいといえるでしょう。
健康状態
ほとんどの住宅ローンでは、団信(団体信用生命保険)の加入が融資条件となっています。団信とは、契約者の死亡といった万が一の際に、保険金によってローンが支払われる保険のことです。団信に加入するには、病歴などの健康状態を告知しなければなりません。加入できるかどうかが重要な判断基準です。
担保評価
住宅ローンでは原則として、購入物件そのものが担保となります。これは契約者がローンを返済できなくなったときに、物件を売却して返済に充てるためです。しかし、物件の価値が低いと売却額が十分でなかったり、そもそも売却できなかったりします。担保評価額は重要な審査基準の一つです。
年収
契約者の年収は、借入額を問題なく返済できるか否かを判断するための重要な項目ですが、ただ年収が高ければ良いというわけではありません。収入が安定していることも求められます。住宅ローン審査では、公務員や会社員といった毎月一定の収入がある方が有利です。
勤続年数
勤続年数が長いほど、住宅ローン審査に通りやすくなります。短期間で転職を繰り返している方は、収入が不安定になる可能性が高いと判断されるため信用を得るのが難しく、融資のハードルが上がります。働いていない期間が長い場合も不利になることがあるため、注意が必要です。
住宅ローン審査の必要書類
住宅ローンの審査で必要になる書類は、次のとおりです。
<事前審査で必要になる書類>
- 本人確認書類(運転免許証、パスポート、健康保険証など)
- 収入証明書類(源泉徴収票、確定申告書一式など)
- 物件に関する資料(パンフレットや各種図面など)
<本審査で必要になる書類>
- 本人確認書類(住民票、運転免許証、パスポート、健康保険証、印鑑証明書など)
- 収入証明書類(源泉徴収票、住民税決定通知書、課税証明書、確定申告書一式、納税証明書など)
- 物件に関する詳細資料(パンフレットなど間取りが分かるもの、不動産売買契約書、重要事項説明書、建築確認済証、建築確認申請書、工事請負契約書、配置図、平面図など)
ただし、必要な書類は給与受給者と自営業者とで異なり、金融機関によってもまちまちです。事前審査では自己申告のみで書類が不要なケースもあります。必ず事前に確認しましょう。
住宅ローン審査に通らない理由
住宅ローンの審査に通らない理由はケースバイケースであり、明確に断定できるものではありません。ここでは、審査に響くと考えられる主な理由を紹介します。
借入時・完済時の年齢が高すぎる
住宅ローンの借入時や完済時の年齢が高すぎると、審査に通りにくくなります。一般的に、住宅ローンは35年の返済期間を設けて80歳前後で完済することが条件です。十分な返済期間が取れず、月々の返済額も増えるため返済が難しいと判断されるケースが多い傾向にあります。
ほかのローンの借入が多い・滞納している
住宅ローン審査を受ける際、ほかに借入がないかチェックされるのが一般的です。すでに自動車ローンやカードローンなどほかの借入が多いと、審査に通らない可能性が出てきます。また、過去の借入を滞納して信用情報にキズがあると、住宅ローン審査の利用は難しいです。
収入が不安定・少ない
収入が不安定だったり、借入額に対して収入が少なかったりすると審査に通りにくくなります。審査基準に勤続年数があることからわかるように、個人事業主や起業したばかりの自営業者、転職したばかりの方などは、収入が安定しないと判断されがちです。
健康状態に問題がある
住宅ローンを利用するには、団信(団体信用生命保険)への加入が必須条件です。しかし持病や病歴が問題視された場合は団信に加入できず、ローンを組めない可能性があります。住宅ローンの相談窓口などで事前に確認してみましょう。
購入物件の価値が低い
住宅ローンは、契約者の返済が難しくなった場合に物件そのものを売却し、返済に充てる仕組みになっています。物件の価値が低いと売却できず、金融機関が貸付金を回収できなくなってしまうため、物件の担保評価額が重視されます。
住宅ローン審査に通りやすくするポイント
住宅ローンの審査は、できる限りスムーズに終えたいものです。審査に通る可能性を上げるには、以下のポイントを押さえておきましょう。
自己資金を増やす
住宅ローンでは、借入金額が高いほど審査が厳しくなります。審査に通りやすくするには、できるだけまとまった額の自己資金(頭金)を準備し、借入額そのものを減らすようにしましょう。実際、住宅を購入する方の多くが物件価格の20~50%程度の自己資金を用意しています。自己資金が多ければ審査に通りやすくなるのに加え、月々の返済負担も軽くなります。
ほかのローンを完済する
クレジットカードの分割払いや消費者金融からのキャッシングなど、ほかの借入がある場合は完済してから住宅ローンを申し込むようにしましょう。複数の借入を抱えている状態では収入に対する返済比率が高くなるため、リスクとみなされます。返済比率を下げることが、審査に通りやすくするための方法の一つです。
ペアローンを組む
借入額が大きいことがネックとなって審査に通らない場合は、ペアローンを選択肢に入れましょう。ペアローンとは、一つの物件に対して夫婦や親子などの親族が個々に契約者となり、2本のローンを組むものです。契約者それぞれの収入に基づいてローンを組めるため、単独でのローンよりも借入可能額を増やすことができます。
住宅ローン審査Q&A
事前審査に通って本審査に落ちることはある?
事前審査にパスしたのであれば本審査で落ちることはほとんどありませんが、100%通るわけではありません。例えば、事前審査の内容に虚偽がある場合や信用情報にキズがついた場合、勤務先が突然倒産したときなどは、本審査の段階で落ちる可能性があります。
住宅ローン審査に落ちた場合、どうすれば良い?
住宅ローンの審査に落ちてしまった場合も、諦める必要はありません。自己資金を増やして借入希望額を下げるなど、条件を変更して再審査を申し込みましょう。また、審査の基準は金融機関によって異なるため、別の金融機関に申し込むことで審査をパスできる可能性があります。比較的条件が緩めの金融機関を選択して審査するなど、選び方が大切です。
自己資金なしで住宅ローンを組むことはできる?
自己資金なしで住宅ローンを組むことはできます。しかし、自己資金ありの場合と比べて金利が高く、月々の支払額も増えて家計に負担がかかりやすくなるため注意が必要です。物件価格に対して10~20%程度の自己資金を準備しておくことをおすすめします。
外国人でも住宅ローンを組むことは可能?
外国人が住宅ローンを利用する場合は、日本の永住権を持っていることが基本条件です。今後も日本国内に住み続けるかどうかが重視されます。ただし、永住権がない場合でも、配偶者が日本国籍を持っていれば良いとする金融機関もあります。申し込み条件や審査基準は金融機関ごとに異なるため、住宅ローンを申し込む金融機関に確認しましょう。
事前に対策してスムーズに住宅ローン審査を進めよう
住宅ローンの審査で時間がかかってしまうと、マイホームの購入時期や建築スケジュールにも響きかねません。審査をスムーズに終えられるよう、今回ご紹介したポイントを押さえて準備しておきましょう。
兵庫県や大阪府で注文住宅を手がけるキノエデザインでは、家づくりのプロによる住宅ローン診断やシミュレーションなどのサポートを行っています。住宅ローン審査でお悩みの際は、ぜひ一度ご相談ください。
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住宅ローンの本審査が通らない理由は何ですか?
住宅ローンの本審査が通らない理由は以下のようなものが考えられます。
- 収入が不安定:安定した収入がないと、返済能力が不足していると判断され、審査に通らないことがあります。フリーランスや個人事業主の場合、収入が不安定なため審査が厳しくなることがあります。
- 他の借入れが多い:他の金融機関からの借入れが多いと、返済能力が不足していると判断され、審査に通らないことがあります。
- 信用情報に問題がある:過去に延滞や債務整理などの信用情報に問題があると、審査に通らないことがあります。
- 審査基準に合わない:金融機関によっては、年齢や職業、勤続年数などの審査基準が設けられており、これに合わない場合、審査に通らないことがあります。
これらの理由から審査に通らない場合、他の金融機関で審査を受ける、借入れ額を見直す、共借人を設けるなどの対策を考えることが必要です。
住宅ローンが拒否される理由は何ですか?
住宅ローンが拒否される理由は主に以下の4つです。
- 信用情報の問題:過去の借入れや返済の遅延、債務整理などの信用情報が悪いと、住宅ローンの審査に通らないことがあります。
- 収入の問題:安定した収入がない、または収入が低いと、返済能力が不足していると判断され、住宅ローンが認められないことがあります。
- 借入れ総額の問題:他の借入れが多いと、追加の借入れが認められないことがあります。これは、返済能力を超える借入れを防ぐための措置です。
- 年齢の問題:高齢者になると、返済期間が長い住宅ローンを組むことが難しくなります。これは、返済期間中に収入が途絶えるリスクが高まるためです。
これらの理由から住宅ローンが拒否された場合、信用情報の改善、収入の安定化、他の借入れの返済、年齢に見合った返済計画の見直しなどを行うことで、再度住宅ローンの申請を考えることができます。
住宅ローン 仮審査 どこまで調べられる?
住宅ローンの仮審査では、以下の項目が主に調査されます。
- 収入情報:年収や勤続年数、勤務形態(正社員、契約社員、派遣社員など)を確認します。安定した収入があることが重視されます。
- 信用情報:過去の借入れ履歴や遅延情報、債務整理の履歴などが調査されます。信用情報機関から情報を取得し、返済能力があるかどうかを判断します。
- 資産情報:預貯金や保有資産、保険などの情報が確認されます。これらの情報は返済能力の補完となります。
- 借入れ額:物件価格や諸費用、自己資金額から借入れ額を算出します。借入れ額が収入に対して適切であるかを確認します。
以上の情報を基に、金融機関は借り手の返済能力を評価し、ローンの審査を行います。ただし、仮審査はあくまで仮の結果であり、正式な審査(本審査)で改めて詳細な審査が行われます。
住宅ローンの審査に通りやすい人は?
住宅ローンの審査に通りやすい人は以下の特徴を持つ人です。
- 安定した収入がある人:定期的な収入があり、その収入が安定している人は、返済能力があると判断されやすいです。
- 信用情報が良好な人:過去の借入れやクレジットカードの利用状況など、信用情報が良好な人は審査に通りやすいです。
- 借入れ額が年収の年数分以下の人:借入れ額が年収の5~6年分以下である人は、返済負担が適切と判断されやすいです。
- 長期間勤務している人:同じ会社に長期間勤務している人は、安定した収入が見込まれるため審査に通りやすいです。
- 保証人がいる人:保証人がいる場合、返済能力が不足した場合でも保証人が返済を補うため、審染に通りやすいです。
以上のような点を満たしている人は、住宅ローンの審査に通りやすいと言えます。ただし、これらはあくまで一般的な傾向であり、金融機関によって審査基準は異なるため、具体的な審査内容については各金融機関に直接お問い合わせください。