家づくりコラム
ZEH住宅とは?メリット・デメリット、活用できる補助金制度を紹介
目次
近年耳にするZEH住宅について、「ZEH住宅ってどんな家のこと?」「ZEH住宅にするとどんな良いことがあるの?」と疑問に思っている方も多いのではないでしょうか。ZEHは省エネルギー住宅の中でもより高性能な家を指します。外観や内装などのデザインだけでなく、家自体の性能を良くすることで、快適な暮らしを実現することが可能です。
本記事ではZEH住宅の基礎知識やメリット・デメリット、活用できる補助金制度を紹介します。光熱費を削減できて、家族全員が心地良く暮らせる家を建てたい方は、ぜひ参考にしてください。
ZEH(ゼッチ)とは?
ZEHとは、Net Zero Energy House(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)の略称です。具体的には生活で消費するエネルギーが創り出すエネルギーと同程度、もしくは下回る住宅を指します。
断熱 | 高断熱材や高性能な窓を使用して断熱性能を高める。 |
省エネ | 省エネタイプの冷暖房や高効率な給湯システム、LED照明などで無駄な電力を省く。 |
創エネ | 太陽光発電システムなどを設置してエネルギーを生み出す。 |
上記3つがZEHに必要な要素であり、太陽光発電設備の導入によって電力を創り出し、省エネ設備や高断熱構造の採用によって消費するエネルギー量を削減します。なお、家庭内で使用している電力量や発電量、稼働状況などを確認するには「HEMS(ヘムス)」が必要です。
ZEH住宅のメリット
ZEH住宅のメリットとして、主に以下の4つが挙げられます。
光熱費の削減につながる
ZEH住宅の省エネシステムや高い断熱性能、太陽光発電システムなどにより消費エネルギーが抑えられ、光熱費の削減につながります。太陽光発電システムで創り出した電力が余ったときは、電力会社に売却して収益を上げることも可能です。
具体的に削減できる光熱費について、東京23区内にある現在の省エネ基準の住宅で、光熱費に年間23万9,000円かかっている家庭を例に見てみましょう。国土交通省が算出したデータによると、ZEH水準の省エネ住宅にすると光熱費は年間19万3,000円になり、年間4万6,000円節約できることになります。さらに太陽光パネルを設置すると、プラス4万円節約することが可能です。
非常時の電力を確保できる
マイホームを購入する際、災害時の備えまで考えておくと万が一のときも安心です。太陽光発電システムによって生み出した電力を蓄電池に貯められるシステムを導入すれば、地震や台風などの影響で停電になったときも蓄電池に貯めた電力でまかなえます。蓄電システムは家庭の電力をまかなえるだけでなく、電気自動車の充電も可能です。
ヒートショック対策になる
ZEH住宅は断熱性能・省エネ性能の高い設備が備わっているため、夏は涼しく、冬は暖かい快適な温度を維持できます。部屋同士の気温差が少ないため、急激な温度変化によって引き起こされる、失神や心筋梗塞などのヒートショックの予防になるでしょう。ヒートショックは高齢者のみならず誰でも起こり得る症状なので、対策しておいたほうが安心です。
高値で売却できる可能性がある
住宅の省エネ性能を評価するシステムの一つに、一般社団法人住宅性能評価・表示協会の「BELS(建築物省エネルギー性能表示制度)」という認証制度があります。一次エネルギー消費量をもとに5段階の星マークで表示されるものですが、ZEH住宅はBELSで高評価を得られるため、不動産市場において資産価値が高いとされています。そのため、購入時に補助金や住宅ローン減税などの優遇措置を受けて購入費用を抑えられるだけでなく、将来家を売却するとなった際に高値で売れる可能性が高くなるでしょう。
ZEH住宅のデメリット
上述のとおりZEH住宅はさまざまなメリットを享受できますが、下記3つのデメリットも考えられます。あらかじめ対策できるように把握しておきましょう。
天候によって発電量が変わる
太陽光発電システムは太陽光によって電力を創り出すため、天候によって発電量が左右される点がデメリットです。曇りや雨の日・日照時間が短い冬の時期は、発電量が下がる可能性があり、常に安定した発電量の確保は期待できません。ただし、気温が安定した地域や日射量の多い土地は、比較的安定した発電量を確保しやすいでしょう。
設備投資やメンテナンス費用がかかる
ZEH住宅にするには、さまざまな省エネ設備を導入する必要があるため、設備投資はやや高くなります。また、省エネ設備を長く使い続けるためには定期的なメンテナンスが欠かせません。点検は努力義務ではありますが、製品によっては無料点検保証がついているケースもあるので、事前に確認しておきましょう。設備投資やメンテナンス費用はかかりますが、光熱費の削減や資産価値の向上などにより、長期的に見ると初期投資しておくほうがお得といえるでしょう。
デザインや間取りが制限されやすい
ZEH住宅は、前述のとおり一般的な住宅に比べて多くの設備を導入しなければならないため、デザインや間取りの制限は多くなります。太陽光パネルを設置するために屋根の角度が制限されたり、高い断熱性を確保するために厚い壁にしたりしなければなりません。そのため、希望する外観デザインや間取りを実現できない可能性があります。建築会社に相談する際は、事前にZEH住宅の建築事例の中から好みのデザインや間取りを集めておきましょう。希望に近いプランを提案してもらえる可能性が高くなります。
ZEH住宅の補助金制度
戸建て住宅のZEH住宅補助金制度は、下記3つに区分されます。
- ZEH
- ZEH+
- 次世代ZEH+
それぞれ具体的にどのような補助制度か見ていきましょう。
ZEH
国土交通省による「地域型住宅グリーン化事業」や環境省による「戸建住宅ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH)化等支援事業」の補助制度を受けられます。エネルギー削減率は、太陽光発電を除いて省エネ基準-20%以上を求められ、太陽光発電などを含む場合の要件は、原則省エネ基準-100%以上です。注文・建売住宅におけるZEHでは1戸あたり55万円、中小工務店などによる木造のZEHは1戸あたり140万円の補助上限額となっています。
ZEH+
ZEH+は、環境省による「戸建住宅ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH)化等支援事業」の補助事業が適用可能です。対象住宅はZEHよりも高性能な住宅(ZEH+)で、エネルギー削減率は太陽光発電を除いて省エネ基準-25%以上が求められます。また、「断熱性能等級5超える外皮性能」「高度エネルギーマネジメント」「電気自動車への充電」のうち2つ以上を実施しなければなりません。ZEH+の要件を満たした場合の補助上限額は、1戸あたり100万円です。
次世代ZEH+
次世代ZEH+は、経済産業省による「次世代ZEH+実証事業」の補助制度を受けられます。ZEH+の性能に加えて自家消費の拡大が求められ、さらにZEH+の要件を満たしたうえで下記のいずれかを導入しなければなりません。
- V2H設備
- 蓄電システム
- 燃料電池
- 太陽熱利用温
- 水システム
- 太陽光発電システム10kW以上
補助上限額は、1戸あたり100万円です。
キノエデザインのZEHについて
キノエデザインでは、ZEH住宅に欠かせない高気密・高断熱のポイントをクリアしているのに加えて、透湿性も兼ね備えた「深呼吸する家」を建てられます。断熱面では、床下の基礎のコンクリート自体を断熱材で覆う基礎断熱を採用しており、換気口の設置が不要なので、より高気密な住宅を実現しています。
また、標準仕様で長期優良住宅の認定を取得しており、ZEHにも対応可能です。これから住宅の購入を検討している方は、補助金を活用して、快適な性能と自然素材を採用したZEH住宅を検討してみてください。
補助金制度を活用してキノエデザインでZEH住宅を建てよう
ZEH住宅は光熱費を節約でき、防災や健康にもメリットがあることから近年注目されています。補助金制度も利用できるので、上手に活用して高性能で住み心地の良いマイホームをお得に手に入れましょう。
キノエデザインではZEHに対応し、高気密・高断熱・透湿性を兼ね備えた家づくりをご提案しています。快適な暮らしを実現できるZEH住宅をご検討中の方は、お気軽に無料相談やモデルハウスにお越しください。
ZEH住宅に関するよくある質問
ZEH住宅とはどんな住宅ですか?
ZEH住宅(ゼッチ住宅)とは、「ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス」の略で、年間を通じて消費するエネルギー量と、太陽光発電などの再生可能エネルギーによって自宅で生成するエネルギー量が合計でゼロになる住宅のことを指します。高い断熱性能や省エネルギー設備を備え、エネルギーの消費を抑えつつ、再生可能エネルギーを利用して自給自足を目指すエコフレンドリーな住宅です。
快適な居住環境を実現しながら、CO2排出量の削減にも貢献するため、環境に優しい住宅として注目されています。
ZEH住宅はいくらくらいしますか?
ZEH(ゼロ・エネルギー・ハウス)住宅の価格は、その規模、設計、使用する建材や設備によって大きく異なります。一般的に、従来の住宅に比べて初期投資は高くなりますが、長期的にはエネルギー費用の削減により、その差額を回収できる可能性があります。
ZEH住宅の価格は、数百万円から数千万円の範囲で変動することが一般的です。具体的な価格を知りたい場合は、建築会社や専門家に相談すると良いでしょう。
ZEHのデメリットは何ですか?
ZEH(ゼロ・エネルギー・ハウス)は、省エネルギー性能が高く、太陽光発電などの再生可能エネルギーを活用して、年間を通じて消費するエネルギー量を実質ゼロに近づける住宅です。しかし、以下のようなデメリットも存在します。
- **初期投資が高い**: ZEHを実現するためには、高性能な断熱材や太陽光発電システム、高効率の家電製品など、初期投資が高額になることがあります。これらの設備投資によるコストは、長期的に見ればエネルギー費用の削減によって回収できる可能性がありますが、初期費用の捻出が難しい場合もあります。
- **設計・施工に専門性が求められる**: ZEHを実現するためには、高い断熱性能や気密性、適切な日射取得と遮蔽、エネルギー管理システムなど、専門的な知識と技術が必要です。そのため、ZEHの設計や施工を行える専門の建築士や施工業者を選定する必要があります。
- **地域や立地条件による制約**: ZEHの効果を最大限に引き出すためには、日照条件や風通しなど、立地条件が重要になります。都市部や日照条件が悪い場所では、太陽光発電の効率が下がるなど、ZEHを実現する上での制約が生じる場合があります。
- **長期的なメンテナンスの必要性**: 太陽光発電システムや高効率の機器など、ZEHに使用される設備は、定期的なメンテナンスや将来的な交換が必要になることがあります。これらの維持管理には、追加のコストや手間がかかる場合があります。
これらのデメリットを踏まえつつも、ZEHはエネルギー消費の削減、CO2排出量の低減、居住環境の快適性向上など、多くのメリットを提供します。そのため、デメリットを理解した上で、長期的な視点での住宅計画を立てることが重要です。
ZEHが普及しない理由は何ですか?
ZEH(ゼロ・エネルギー・ハウス)が普及しない理由には、いくつかの要因が考えられます。
- **初期費用の高さ**: ZEHを実現するためには、高性能な断熱材の使用や太陽光発電システムの設置など、従来の住宅に比べて高額な投資が必要になります。この初期費用の高さが、普及の障壁となっています。
- **認知度と理解度の低さ**: ZEHに関する正確な情報やメリットが十分に伝わっていないことも、普及しない一因です。消費者や建築関係者の間での認知度がまだまだ低く、その価値を理解してもらうための啓発活動が必要です。
- **長期的なメリットの見えにくさ**: ZEHのメリットは、長期的に見るとエネルギーコストの削減につながりますが、短期的な利益としては見えにくいことがあります。初期投資に対する回収期間が長いと感じる人も多く、そのために導入をためらうケースがあります。
- **制度や支援の不足**: ZEHの普及を促進するための政府や自治体の補助金制度、税制優遇措置などの支援が不十分であると感じる人もいます。より積極的な支援策が求められています。
- **技術的な課題**: ZEHを実現するための技術や材料が、すべての地域や条件に適しているわけではありません。地域によっては、気候条件や土地の特性に合わせた調整が必要であり、そのための技術開発や知識の蓄積がまだ進んでいない場合があります。
これらの理由から、ZEHの普及にはまだ課題が多いと言えますが、環境への配慮やエネルギー効率の向上を目指す動きは進んでおり、今後の普及に向けた取り組みが期待されています。
ZEH住宅の住み心地はどうですか?
ZEH(ゼロ・エネルギー・ハウス)住宅の住み心地は、一般的に非常に快適です。ZEH住宅は、高い断熱性能と気密性を持ち、夏は涼しく冬は暖かい居住環境を提供します。これにより、エアコンやヒーターなどの使用頻度が減り、快適な室温を一年中保つことができます。また、省エネルギー設計により、光熱費の削減も期待できます。
さらに、ZEH住宅は、自然エネルギーを活用した設計がなされているため、室内の空気質も良好です。適切な換気システムにより、新鮮な空気が常に供給され、室内の湿度も適切に保たれます。これにより、カビやダニの発生を抑え、アレルギーなどの健康リスクを低減することができます。
ただし、ZEH住宅の住み心地は、その設計や建築に使われる材料、住宅の立地条件などによっても左右されます。そのため、建築する際には、信頼できる建築会社や設計士と十分に相談し、自分のライフスタイルに合った住み心地の良いZEH住宅を目指すことが重要です。