家づくりコラム
セルロースファイバーの性能を徹底解説!シロアリ被害を防ぐ理由とは
目次
建物の性能を大きく左右する断熱材は、なくてはならない建材の一つです。
断熱材にはいくつか種類があり、その特性によっては建物に重大な不具合が起こる可能性があるため注意しなければなりません。
また、セルロースファイバーはシロアリ対策に有効ともいわれていますが、その理由は何なのでしょうか。
本記事では、セルロースファイバーの特徴やシロアリに強い理由などを紹介します。
断熱材にセルロースファイバーを採用しようか迷っている方や、シロアリに強い注文住宅を建てたいと考えている方は、ぜひ参考にしてください。
断熱材のセルロースファイバーとは?
セルロースファイバーとは、天然繊維でできた断熱材の一種です。
本来なら破棄されてしまうはずの新聞紙をリサイクルした製品であるため、地球環境に優しいエコ素材といえます。
見た目は灰色で細かく、綿のようにふわふわしているのが特徴です。
さまざまな太さの繊維が絡み合うことで空気の層をつくり、断熱材として優れた効果を発揮します。
セルロースファイバーはアメリカで開発されてから80年以上の歴史を持ち、アメリカではシェア率No.1ともいわれるほどのメジャーな断熱材です。
日本ではまだそれほど普及していませんが、省エネ住宅の需要が高まるにつれて今後多くの新築住宅で採用されることが見込まれるでしょう。
セルロースファイバーの性能
セルロースファイバーは断熱性能はもちろん、住宅建材として優れた性能を多く持っています。
それぞれの性能を理解したうえで、建材として取り入れるべきか見極めると良いでしょう。
主な性能は以下の通りです。
調湿効果、断熱性、防音性、撥水性に優れている
セルロースファイバーが持つ大量の空気層には、室内の湿度を調整してくれる機能があります。
周囲の湿度が高くなれば湿気を吸収し、湿度が低くなれば湿気を放出する多孔質な素材は、年中快適な室内空間を保つことに役立ちます。
また、セルロースファイバーはバラバラの繊維を吹き込み式で充填することにより、スキマや偏りなく施工することが可能です。
細かい部分もスキマなく施工することで気密性も上げられるため、高い断熱効果を発揮します。
セルロースファイバーは新聞紙を利用していることから燃えやすいイメージがあるかもしれませんが、実は耐火性の高さも特徴です。
防火対策として混ぜ込まれているホウ素によって一般的な断熱材と比べて燃えにくく、またプラスチック系の断熱材で発生してしまう有毒ガスも抑えられます。
さらに、吹き込み施工によって外からの音をシャットダウンし、プライベートな音は外に聞こえないという優れた防音性能もメリットの一つです。
セルロースファイバーは天井や床下にも施工できるため、一戸建てはもちろんマンションの断熱材としてもおすすめです。
そのほか、セルロースファイバーの撥水性は雨漏りの早期発見にも役立ちます。
雨漏りがあった際は水を吸収せず天井板を濡らすため、水をスポンジのように吸収するグラスウールに比べ、早く異常に気づいて対策ができるでしょう。
防虫、防カビ効果があり安全性も高い
セルロースファイバーに混ぜ込まれているホウ素は、虫の苦手な成分であることから防虫効果も見込めます。
また、新築住宅だからといって油断できないカビは、気づかず放置すると住宅の木材部分に大きなダメージを与える原因になりがちです。
しかし、セルロースファイバーに含まれている「InCide PC」のボロン#10というホウ酸化合物には防カビ効果があるため、住宅の寿命を長くすることが期待できます。
防虫効果や防カビ効果が高いということは、人間の体に良くないものが入っているのではないかと心配になる方も多いでしょう。
セルロースファイバー「InCide PC」は、一般的な食塩の6倍も安全であると評価されています。
そのため、小さな子どもやペットのいる家庭でも安心して使えます。
高品質でエコ素材
セルロースファイバー「InCide PC」は、安全性が高いうえに高品質の断熱材です。
安全面では米国消費者製品安全委員会(CPSC)、米国材料試験協会(ASTM)など、複数の安全基準を満たしています。
また、市民の健康や自然環境を保護する米国環境保護庁や、殺虫剤・殺鼠材法を規制するFIFRAの必要条件にも適合しており、厳しい品質管理を行っていることがうかがえます。
これだけの品質制御基準を兼ね備えた断熱材は、セルロースファイバーのみといえるでしょう。
さらに先述のとおり、セルロースファイバーの原料は新聞紙が使用されています。
一般的な断熱材であるグラスウールを製造するよりも格段に少ないエネルギーで製造可能なうえ、天然素材でできていることから地球環境にも優しいエコ素材です。
セルロースファイバーのデメリット
セルロースファイバーには多くのメリットがありますが、優れた断熱材でいくつもの性能があるからこそデメリットも存在します。
デメリットは主に3つありますが、1つ目はコストが高いことです。
日本の住宅で多く使用されているグラスウールと比較すると、セルロースファイバーの材料費や施工費は高い傾向にあります。
セルロースファイバーの密度を高くするために大量のセルロースファイバーが必要であることや、スキマのないよう吹き込み作業を行うために丁寧な仕事が求められることが理由に挙げられます。
また、吹き込み用の専用機械やセルロースファイバー専門の職人を手配することが必要なため、コストだけでなく施工期間が長くなることもデメリットといえるでしょう。
3つ目は、長期的に見たときに沈下するリスクがあることです。
施工時はスキマなく充填できていても、時間が経つと素材の重さで沈下し、上部にスキマができてしまう可能性があります。
スキマができると断熱性の低下や結露が起こりやすくなるため、注意が必要です。
シロアリが住宅に与える被害
シロアリの発生は、木造住宅を劣化させる大きな要因の一つです。
木材を食い荒らすシロアリは、一度巣を作ると何十年にもわたって家の木材を食べ続けるため、発生させないことが重要といえます。
シロアリは木や紙類が大量にあって湿度の高い暖かい場所を好み、住宅の床下や天井裏などに多く生存しています。
床下や柱、天井裏に被害が発生しやすいのはこのためです。
被害を受けると床が沈み込んだり、地震の際に倒壊しやすくなったりと、主要構造材が空洞になるため安全面が著しく低下します。
シロアリは北海道などの寒冷地にも発生するため、地域を問わず対策しておきましょう。
セルロースファイバーがシロアリ対策に有効な理由
性能の項目でも述べたとおり、セルロースファイバーには虫が苦手とするホウ酸が含まれています。
腎臓がないシロアリがホウ酸を摂取しても体内で処理しきれず、代謝がストップしてしまうことで死に至ります。
ホウ酸は防蟻効果だけでなく、同じく腎臓がないゴキブリや、ネズミ、カビ、ダニなどにも有効です。
このように虫や菌に効果的なホウ酸ですが、人体にはほぼ影響がないため安心して使用できるのもうれしいポイントです。
ホウ酸が含まれるセルロースファイバーは、家の主な劣化原因である腐朽やシロアリ被害に効果を発揮する、唯一の断熱材といえるでしょう。
セルロースファイバー以外の断熱材
優れた性能と多くのメリットを持つセルロースファイバー以外に、住宅の断熱材にはどのようなものがあるのでしょうか。
それぞれの断熱材の種類や、シロアリをはじめとした害虫予防に効果のある断熱材について紹介します。
断熱材の種類
断熱材は、大きく「繊維系」「天然素材系」「発泡プラスチック系」に分けられます。
さらに、繊維系はグラスウールやロックウールなどの無機繊維系と、セルロースファイバーのような木質繊維系に分けられます。
天然素材系は、羊毛や炭化コルクなど人間にも地球にも優しい素材です。無添加で自然素材を使用しており注目されているものの、断熱材の中では高価な部類です。
発泡プラスチック系は、硬質ウレタンフォームやポリスチレンフォームなど、プラスチックを発泡させて細かい気泡の中に空気を閉じ込めたものを指します。防虫性や耐火性はあまり高くないものの、施工が簡単で価格が比較的安価なことがメリットといえます。
防虫効果の高い断熱材
セルロースファイバーのほかに、防虫効果の高い断熱材はあるのでしょうか。
結論からいうと、セルロースファイバーほどの効果はないものの、一定の効果を発揮する断熱材は存在します。
例えば、ガラス繊維でできたグラスウールです。防蟻効果によって、シロアリを寄せ付けにくいことがわかっています。
ただし、ホウ酸のような死滅させるほどの効果はなく、個体数の減少が可能です。
ほかにも、比較的新しい断熱材である羊毛や炭化コルクは、人体に無害な防虫処理をほどこすことで半永久的に防虫効果が期待できるといわれています。
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シロアリ対策になるセルロースファイバーは、機能性にも快適性にも優れた地球に優しい断熱材です。
「高性能な住宅で家族と家の健康を守りたい」と考えている方は、セルロースファイバーを採用した家づくりを検討すると良いでしょう。
キノエデザインでは、耐久性が高く一年中快適な家づくりの提案をしています。
家族の健康を守りたい方や、自然素材をふんだんに使った家づくりがしたい方は、お気軽にキノエデザインまでご相談ください。