家づくりコラム
瓦屋根住宅がすべき本当の地震対策とは?原因からわかる対策法を紹介
目次
地震による住宅の被害で多いのが、瓦屋根の倒壊です。
東日本大震災や熊本地震の際には、屋根にブルーシートがかかっている被災地の写真を目にした方も多いのではないでしょうか。
震災の影響もあり耐久性に優れた瓦屋根が普及しているものの、実際には被害を防ぎきれていないのが現状です。
本記事では、瓦屋根の特徴や瓦屋根が地震に弱い理由、地震時に瓦屋根が受ける被害の内容、また地震に強いとされる防災瓦などについて解説します。
瓦屋根のマイホームづくりを検討している方や、住宅の地震対策が不安な方はぜひ参考にしてください。
瓦屋根とは?
瓦屋根とは屋根材に瓦を使用しているもので、日本家屋に多く見られます。
瓦には形や色、特徴が異なる和瓦と洋瓦があり、家のタイプや好みによって使い分けが可能です。
瓦の原料には、主に粘土が使用されています。
粘土を成形して乾燥させ、高温で焼き上げる粘土瓦は耐久性に優れているため塗装の必要がありません。
種類は「釉薬瓦(陶器瓦)」「いぶし瓦」「素焼き瓦」「セメント瓦・コンクリート瓦」など豊富にあります。
瓦屋根は耐久性や断熱性、遮音性に優れており、寿命が長い点が特徴です。
特に、日本瓦は定期的なメンテナンスを行うことで50年以上もつといわれています。
ただし、他の屋根材と比べて価格が高く、地震や台風などの災害時に瓦が落ちるリスクがあります。
瓦屋根が地震に弱いと言われる理由
「地震時に屋根瓦が落ちた」などの声を耳にしますが、地震時の住宅の倒壊にも瓦は関係しているのでしょうか。
結論からいうと、屋根材の重さが家の耐震性に影響するのは事実です。
屋根が軽ければその分、建物の揺れも小さくなると考えられます。
ただし、瓦屋根だから倒壊するというわけではなく、また軽い屋根材だから倒壊しないというわけでもありません。
耐久性の高い瓦屋根が地震に弱いと言われる大きな理由は屋根の重さではなく、建物そのものに関係しています。
住宅の耐震性能は、骨組みや構造が躯体の強さに直結しており、躯体が弱ければ軽い屋根材でも倒壊の危険性が十分にあり得ます。
つまり、重要なのは屋根材と重量と躯体のバランスであるといえるでしょう。
地震による瓦屋根の被害
実際に地震が発生した場合、瓦屋根はどのような被害を受けているのか気になる方も多いでしょう。
ここでは、地震の影響を受けやすい住宅の箇所を紹介していきます。
瓦屋根の建物が半壊・全壊
地震時には、瓦屋根の建物の被害が多く見られます。
建物が半壊、ひどい場合は全壊するものもあるほどです。
しかし、実際の主な原因は瓦屋根ではなく、建物の強度の問題です。
独立行政法人防災科学研究所が行った実験では、築30年の耐震補強を施した住宅と施していない住宅に震度7レベルの揺れを与え、被害状況を比較しました。
その結果、無補強の住宅は激しく倒壊したのに対し、補強住宅は一部の壁が崩落するも倒壊はしませんでした。
築年数が古い建物ほど半壊・全壊の危険性が高くなるものの、補強の有無で結果が大きく変わります。
前述したように、屋根自体の重さが建物倒壊の直接の原因ではなく、屋根材の重さに見合った躯体の強度がないことが原因といえます。
壁や筋交いを増やすなど建物の強度を上げることで対策ができるため、地震による住宅被害を恐れて瓦屋根の使用を諦める必要はないでしょう。
瓦屋根の棟部
建物以外の地震による瓦屋根の被害は、大棟(おおむね)・隅棟(すみむね)・下り棟(くだりむね)などの棟部に多く見られます。
大棟とは屋根の頂点の部分で、隅棟は入母屋屋根や寄棟屋根で四隅角にある斜め部分、下り棟は入母屋屋根のまっすぐ降りている棟部分です。
特に被害を受けた住宅の特徴としては、築30年~40年ほどの古い建物や、棟瓦や桟瓦を葺土のみで固定している旧工法(大回し工法)の建物などが挙げられます。
旧工法(大回し工法)とは、棟部分の冠瓦、のし瓦、葺き土を銅線でくるむ工法です。
銅線を大きく回すため、大回し工法とも呼ばれています。旧工法(大回し工法)であるかどうかの確認は、棟部の外側に銅線が見えるか見えないかで判断できます。
この工法が採用されている場合は、地震被害を防ぐ対策として、耐震性の高いガイドライン工法へ葺き直しするのがおすすめです。
地震に強い防災瓦
瓦屋根自体が地震に弱いわけではありませんが、建物の倒壊の可能性を少しでも減らせるのであれば対策すべきでしょう。
そこで注目されるのが「防災瓦」です。
ここでは、防災瓦が従来の瓦とどのように違うのか、その特徴や魅力、弱点などについて解説します。
防災瓦とは?
防災瓦とは、一般的な瓦に比べて台風や地震などに強い瓦を指します。
ロック式と呼ばれる工法で瓦同士を連結することにより、耐震性能が大幅に強化されているのが特徴です。
また、瓦を野地板(屋根の土台)に釘で固定させることで耐風性もアップするなど、まさに防災に役立つ瓦といえます。
従来の瓦は重量があり建物への負担も大きかったため、建物が老朽化した場合にはスレート屋根やガルバリウム鋼板などの軽量材に葺き替える必要がありました。
しかし、防災瓦は従来の粘土瓦のままで重量が約50%も軽量化されており、地震や強風に強く、耐震性・耐風性の高い瓦といえます。
防災瓦は、地震による瓦の被害が気になるという方の選択肢となるでしょう。
防災瓦の魅力
軽量化された防災瓦は、建物にかかる負担が軽減される点が魅力です。
地震の揺れによる影響も少なく、災害時の心強い備えとなるでしょう。
また、瓦の下部に爪がある構造が特徴で、爪を重ね合わせて瓦同士を固定しているため、ズレや落下がしにくくなっています。
さらに瓦本来の耐久性は変わらず、他の屋根材では10年~20年ほどで塗装や葺き替えの必要があるのに対し、30年以上メンテナンスの必要がないのも大きなメリットといえるでしょう。
その他、瓦同士がしっかり重なっているため雨水の侵入を防ぎ、防水性の高い構造になっているだけでなく、音や熱を吸収する性質もあり、遮音性・遮熱性が高い点も魅力です。
防災瓦の弱点
メリットの多い防災瓦ですが、スレート屋根や金属屋根などに比べて価格が高いうえ、工法が特殊で手間がかかるため施工費用も高い傾向にあります。
ただし、防災瓦は30年ほどメンテナンスフリーなので、維持費を考えるとコストを抑えられるでしょう。
また、ズレや落下がしにくいとはいえ、強い衝撃を受けると従来の瓦と同様に割れる可能性はあります。
さらに従来の瓦屋根よりも軽量化されているものの、金属・スレート屋根などの軽い屋根材と比べると重さがあるため、これらの素材に比べて建物への負荷を軽減できるとは言いきれません。
しかし、現在の耐震基準に則った建物であれば、瓦の重さがあっても耐震性能に問題はないとされています。
これらの弱点を考慮したうえで、防災瓦を取り入れるか判断すると良いでしょう。
地震に強い瓦屋根の注文住宅を建てるなら【キノエデザイン】に相談しよう
地震に弱いと言われる瓦屋根が心配な方は、地震や台風などの災害に強くメリットが多い防災瓦を検討してみてはいかがでしょうか。
キノエデザインでは、防災瓦を取り入れ耐震性・耐久性・耐火性に優れた住まいづくりを行っています。
構造にもデザインにもこだわった住宅で快適な暮らしを実現しましょう。
地震に強い注文住宅や屋根リフォームをご検討中の方は、お気軽にお問合せください。