Menu

Column
2022.07.29 家の素材

瓦屋根の種類別メリット・デメリット|特徴を把握して素材選びを

住宅街を歩いていると、ふとした瞬間に日本家の瓦屋根の美しさに目をひかれるものです。
瓦屋根には独特の趣があるので、新築やリフォームで瓦屋根を検討中の方もいるでしょう。
一方、近年の台風などの災害や地震後に瓦屋根が被害を受ける様子を目にして、耐久性や耐震性が気になる方も多いのではないでしょうか。
また、瓦屋根は他の金属屋根などに比べると初期費用が高いともいわれています。
実は瓦屋根のタイプによって耐久年数や費用相場、メンテナンス方法などが大きく異なります。
最近では、自然災害に強い耐久性に優れた瓦も登場しており、メリットが多くなっています。
今回は、瓦屋根の種類別の特徴、メリット・デメリットを徹底解説します。

瓦屋根のメリットとデメリット

日本に昔からある瓦屋根には、どのような特徴があるのでしょうか。
ここでは、メリットとデメリットを紹介します。

瓦屋根とは

瓦屋根とは、瓦を屋根材として用いている屋根のことをいいます。
瓦屋根の種類は、日本の伝統的な和瓦と、欧米を中心に使われている洋瓦に大きく分けられます。
瓦屋根の種類は、素材や成形方法によってさらに細かく分類できます。
粘土を高温で焼いた粘土瓦 や、セメントに水を混ぜて形成したセメント瓦 などがあります。

瓦屋根のメリット

瓦屋根以外の代表的な屋根材には、ガルバリウム鋼板があります。
ガルバリウム鋼板と比較した瓦屋根のメリットには、次のようなものがあります。

■耐久性が高い

瓦屋根は粘土などの不燃材料でできているため、熱にも寒さにも強く、環境の変化に左右されない特徴があります。
ひび割れなども起きにく く、耐久年数の目安が30年といわれているガルバリウム鋼板に対して、瓦屋根の寿命は50年以上ともいわれています。

■再塗装が不要

釉薬 (うわぐすり)を塗っていると表面がコーティングされ、雨水などから守られます。
防水性に優れ、色褪せません。

■一枚単位から交換が可能

瓦は一枚ずつ取り外せるので、必要な箇所だけ部分補修ができます。
修理しやすいのも瓦屋根のメリットです。

■断熱性が高い

素材そのものと、瓦と下地材の間に空気層を作る工法が使われていることで、断熱性が高いのも瓦屋根の特徴です。
暑さ対策にもなります。

■遮音性が高い

瓦屋根の下に空気層が多くなることで、遮音性が高まります 。
防音性にも優れているため、雨音が気になる人にもおすすめです。

瓦屋根のデメリット

次に、ガルバリウム鋼板の屋根と比較した瓦屋根のデメリットを解説します。

■価格が比較的高い

施工に専門的な技術が必要なのでコストがかかり、部材そのものの値段も高いことから、価格が高くなりがちです。
瓦は重さがあるので強固な躯体が必要になります。

■地震や強風で瓦が落ちるリスクがあるため対策が必要

自然災害によって破損や落下、倒壊が発生している瓦屋根は、ほとんどが昔の工法で作られていることが原因です。
最近では、軽量で防災に強い「防災瓦」も出てきており、施工時に取り付け工法を工夫したり、ビスで瓦を固定したりしています。

【種類別】粘土瓦のメリットとデメリット

屋根瓦を素材別に分けると、粘土瓦とセメント瓦に分けられます。
ここでは、粘土瓦のメリットとデメリットを説明します。

粘土瓦とは

粘土瓦とは、粘土を使って焼き上げるオーソドックスで人気の高い瓦で、日本瓦、和瓦ともいいます。
瓦の産地によって焼成温度  などが異なり、それぞれ特色があります。
三州瓦(愛知県・三河地方)・石州瓦(島根県・石見地方)・淡路瓦(兵庫県淡路島)などが日本三大瓦として有名です。
粘土瓦は、作り方によって「釉薬(ゆうやく)瓦」と「無釉瓦」に大別できます。

釉薬瓦のメリットとデメリット

釉薬瓦とは、釉薬を  塗って焼き上げた瓦です。
釉薬とはガラス質の粉末で、水で溶かして使います 。
陶器をつくる際も同じく釉薬を 塗るため「陶器瓦」とも呼ばれます。
釉薬瓦は、表面がコーティングされガラス質になります 。
水が染み込みにくくなることで劣化を防ぎ、瓦の耐久年数の延伸につながります。

また、釉薬は混ぜる物質の配合や種類が多くあり、多彩な色やツヤを出せるのがメリットです。
洋風の瓦の演出にも適しています。

釉薬瓦のデメリットは、釉薬を施す材料費や手間がかかるので屋根材1枚あたりの金額が高い点です。

無釉瓦のメリットとデメリット

無釉瓦とは、釉薬を使わずに焼き上げた瓦です。
別称としては、焼き方の違いによって 「いぶし瓦」「素焼瓦」などと呼ばれます。

いぶし瓦は、焼いたあとに窯の中でいぶします 。
いぶすことによって、瓦の表面に炭素膜ができて防水性が向上します 。
釉薬瓦よりも渋い独特の銀色になるため、和風の外観の住宅の屋根におすすめ です。
重厚感などを演出できる点がメリットです。

素焼瓦は、粘土をそのまま焼く ので、素材の色を生かせる点がメリットです。
洋瓦のほとんどが素焼瓦です。

デメリットは、釉薬瓦と比べると表面が釉薬で覆われていないぶん耐久性に劣り、色などのデザインの幅も限られる点です。

【種類別】セメント瓦のメリットとデメリット

ここでは瓦屋根を素材別に分けたうちの、セメント瓦のメリットとデメリットについて説明します。

セメント瓦とは

セメント瓦とは、1970~1990年代に流行したセメントを成形した瓦のことをいいます。
この瓦は、高度経済成長期に住宅が不足した際に普及したものです。
セメント瓦は、セメントに水を混ぜて型に入れて成形し、最後に塗料 で仕上げます。

セメント瓦のメリット・デメリット

セメント瓦のメリットは、粘土瓦に形状が似ているうえ、金額も比較的安くコストパフォーマンスに優れている点です。
デザインのバリエーションも豊富にそろっています。

デメリットは、塗料で染色するため色が褪せやすい点です。
色褪せた場所には苔が生えやすく、防水性が低下するリスクがあります。
劣化したら放置せず、メンテナンスで再塗装することが重要です。

瓦屋根の特徴を知って屋根を選ぼう

瓦屋根のメリットは、耐久性や断熱性、遮音性に優れ、再塗装が不要なのでメンテナンス費用が抑えられることです。
一方で、価格が他の屋根材に比べて高く、地震や強風で瓦が落ちるリスクがあるため対策が必要になる点がデメリットです。
それぞれの瓦屋根の特徴を知ったうえで、定期的な点検とメンテナンスをすることで、美しい状態で屋根を長持ちさせられます。

また、瓦屋根には、釉薬瓦や無釉薬瓦など、さまざまな種類があります。
素材や作り方によってメンテナンスサイクルや費用が大きく異なるので、わからないことがあれば屋根瓦の施工やメンテナンスに対応した住宅会社に相談しましょう。

秋山住研では、選び抜いた素材で永く暮らせる家、居心地がよい家づくりを行っています。
また、家を建てたあとのメンテナンスで、施工主様と業者は一生のお付き合いになります。
快適で永く安心して暮らせる住空間を作りたい方は、ぜひお気軽にご相談ください。