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2022.02.04 家の素材

断熱材「セルローズファイバー」のメリット・デメリットと注意点

注文住宅を考えはじめ、色々なメーカーのモデルハウスや展示場に足を運ぶと、必ずと言っていいほど話に上がる「断熱材」。
ネットで調べてみると、「様々な種類があるのはわかるけど、結局どんな特徴がある素材なの?」と思われる方もいるのではないでしょうか?
今回は、種類がたくさんある断熱材の中でも、セルローズファイバーについてご紹介をしていきたいと思います。

セルローズファイバーのメリット・デメリットを見ていく前に、そもそもセルローズファイバーとはどんな断熱材なのかをみていきたいと思います。
セルローズファイバーは、木質繊維でできた「究極の断熱材」ともいわれる断熱材です。新聞紙をリサイクルしてつくっているので、住む人にはもちろん、地球環境にも優しい断熱材として、アメリカでは最も使われている断熱材だと言われています。
アメリカでは、空港近くの建物に使われる防音素材としても認可を受けているほど防音性能に優れたセルローズファイバーですが、他にもたくさんの特徴があります。
他の断熱材と比較しながらご紹介していきたいと思います。

セルローズファイバーの利点・メリット

断熱材は、各メーカーがこだわりをもって吟味している素材のため、行く会社によって種類も特徴も異なるため、何が良いのか分からない、となってしまう方もいらっしゃるのではないでしょうか?
冒頭でも触れたとおり、断熱材と一口に言っても、グラスウールやロックウール、硬質ウレタンフォームや発泡ウレタンなど、下の表のようにたくさんの種類があります。

断熱材 特徴
グラスウール 安価で施工が容易なため普及率が高い。湿気対策が必要。
ロックウール 燃えにくく、撥水性が高いが湿気対策が必要。
セルローズファイバー 価格が高く、専門業者による施工が必要。調湿効果がある。
羊毛 防虫効果が高く、調湿効果もあるが、対応できる業者が少ない。
炭化コルク 高い調湿効果があり、吸音性に優れているが価格が高い。
ポリスチレンフォーム 結露を防ぎやすく、施工しやすいが熱に弱い特徴がある。
硬質ウレタンフォーム 断熱性能が非常に高いが、燃えると有毒ガスが発生する。
発泡ウレタンフォーム 断熱性能が高いが、専門業者による施工が必要。
フェノールフォーム 価格が非常に高いが、断熱性能が高く、耐久・耐火性能も高い。

下記では、セルローズファイバーについて、まずはメリットからご紹介していきたいと思います。

断熱・調湿性能が高い

セルローズファイバーは、木質繊維が原材料になっていることもあり、断熱性能が高く、熱伝導率が低いことが特徴の1つです。
熱伝導率で比較すると、グラスウールと比較しても遜色ない断熱効果があり、専用の機械を用いて充填する施工方法のため、隙間なく断熱材をいれることができるため、冬は暖かく夏は涼しい市内環境を実現することができます。
また、セルローズファイバーは、吸放湿性に優れているため、適度な湿度に室内を保つことができ、室内や壁内の結露やカビを予防することができるので、グラウウールよりも快適な環境を実現することができます。

防音性能が高い

前述の通り、アメリカでは防音素材として認定されているように、セルローズファイバーは、断熱材の中で唯一防音効果がある素材です。
様々な太さの木質繊維が複雑に絡み合っていることにより、たくさんの空気泡があり、この穴で音が反響することにより防音性能を発揮しています。

防火性能が高い

セルローズファイバーは、製造の段階でホウ素系薬剤が配合されています。
ホウ素系薬剤とは、一般的にホウ酸と言われる天然資源のことです。
このホウ酸の難焼性という特徴によって、セルローズファイバー表面が炭化することによって内部まで燃焼することを防いでくれます。
また、セルローズファイバーはグラスウールと比較すると同じ面積に約3倍の密度で施工されるため、密度が高く酸素が入りにくいことも高い防火性能の要因になっています。
このように、セルローズファイバーには、燃えにくい・溶けない・全体が高温にならないという性能がある上に、原材料が自然素材ということもあり、万が一燃えても有毒ガスが発生しないという性能が備わっています。

防虫・防カビ性能が高い

先述のように、セルローズファイバーにはホウ酸が配合されているため、シロアリによる被害や木材の腐敗、カビの発生などに対する耐性も非常に高い性能を発揮します。
ホウ酸ときくと、ゴキブリ対策のホウ酸団子を思い浮かべる方もいらっしゃる方もいるかもしれません。
ホウ酸団子のようなゴキブリ対策に使われているものと同じ成分を含んだ断熱材であることからも、断熱材自体に非常に高い防虫効果があることがわかると思います。

セルローズファイバーの欠点・デメリット

ここまでセルローズファイバーのメリットについてご紹介してきましたが、「そんな良いところばかりなら、なんで日本では普及していないの?」と思う方もいらっしゃるのではないでしょうか?
ここからは、セルローズファイバーが一般的に広く使われていない理由にも繋がるデメリットについてご紹介していきたいと思います。

価格が高い

セルローズファイバーは、一般的に用いられる断熱材である「グラスウール」と比較すると、同じ面積でも約3倍の密度の施工が必要になるため、かなり多くの量が必要になり、その分金額も高くなりがちです。
また、大工さんが施工できるグラスウールと異なり、セルローズファイバーは、専用の機械と専門の職人さんに施工してもらう必要があるため、人件費なども必要になってきます。
ただし、住んでからの光熱費や修繕費などの関係で、長期的な目線で考えるとそこまで費用が変わらないケースもあります。

施工日数がかかる

専門の業者に施工して貰う必要があるため、グラスウールなどの他の断熱材と比較すると、施工日数が長く必要になります。
また、セルローズファイバーの施工中には、他の工事ができなくなるため、工程の調整・管理にも注意が必要になります。

壁内での沈下が起きる

素材自体の量が多いこともあり、素材自体がそれなりの重量になります。
そのため、施工密度が適正値に達していない場合には、壁内で断熱材の沈下が置き、断熱欠損を起こしてしまう可能性があります。
そのため、熟練の施工業者に依頼した上で、施工した後の充填度合を気にかけることが重要です。
密度高く施工することができていると、こちらの動画のように、シートを剥がしても落ちてこないくらいに1つの固形物のような状態になるので、沈下の可能性も極限まで低下させることができます。

素材が落下する

壁内でのシート貼りなどの処理があまく、隙間が空いてしまっていると断熱材が落ちてきてしまうケースがあります。
ただし、一般的に木下地や石膏ボード、パテなどで隙間がないように施工されていれば起きることはない問題です。
前述のように高密度で施工されたセルローズファイバーは、動画のように中程をえぐっても上下ともに落ちてこないようになるため、施工技術によってデメリットを解消することができると言えます。

リフォーム時にセルローズファイバーを使う際の注意点

ここまでセルローズファイバーのメリット・デメリットについてご紹介してきました。
メリットやデメリットを考慮しても、非常に魅力的な素材であるセルローズファイバーですが、1番のデメリットはリフォーム(増改築)時にあります。
壁内に充填されたセルローズファイバーは、他の断熱材と異なり固形化したものや袋に入ったものではないため壁に穴をあけるとボロボロとこぼれてきてしまうことがあります。
そのため、リフォームなどで壁に手を加えた際には、再度断熱材を吹き込む必要があり、余計に費用が発生してしまいます。
エアコンのスリーブ穴などに関しても慣れていない業者さんが施工すると同様のことが起きる可能性があるため、施工に慣れている業者に依頼する、もしくはエアコンの設置が確定している箇所には、最初からスリーブパイプを仕込んでおくことがおすすめです。

セルローズファイバーの扱いになれた業者を選ぶ

ここまで、「究極の断熱材」と言われるセルローズファイバーの特徴についてメリット・デメリットの観点からご紹介してきました。
断熱性能だけでは1番の性能ではないですが、総合的な性能では間違いなく他の断熱材よりも優れたポイントも持っているセルローズファイバーですが、デメリットでご紹介したとおり、施工業者の選定が非常に重要になってきます。
断熱材の厚みにばかり注目しがちですが、セルローズファイバーに関しては、「どのくらいの密度で施工してくれる会社なのか」という視点も持って会社選びをしてみてください。

セルローズファイバーを用いた家づくりに興味がある方は、全邸標準仕様でセルローズファイバーを採用している秋山住研にご相談ください。
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